やらなくてはいけないことがたくさんあるのに、体が動かない。意志が弱いのか、自分がダメなのか――そう自分を責めてしまう人は少なくない。しかし『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)の著者・池田貴将氏は、「行動できないのは意志が弱いせいではない」と語る。今回は池田氏に、「わかっているのにできない」という悩みの正体と、行動できる人に変わる方法について伺った。(取材/ダイヤモンド社・林えり、構成・文/照宮遼子)
Photo: Adobe Stock
「先延ばし」の究極の原因とは?
――仕事や掃除など、「あとでやろう」と思ってもなかなか手をつけられないのは、なぜでしょうか?
池田貴将(以下、池田):「最初の一手」が決まっていないからですね。たとえば掃除は、最初に何をするかが決まっていないから、いざやろうとすると手が止まってしまうんです。つまり、漠然と「掃除」と思っていても、「具体的に何をするか」という中身が決まっていないから、ずっと先延ばしされてしまうというわけです。
――たしかに「掃除しなきゃ」と思っても、具体的に何から手をつけようか決めていないところがあるかもしれません。
池田:そうなんです。実行するには「具体的な動作」にまで落とし込む必要があります。
たとえば、床を掃除する場合は
①フローリングワイパーの本体を持ってくる
②フローリングワイパーのシートを取り付ける
③床を磨く
④シートを捨てる
といったレベルまでやるべきことを分解しておきます。そうすれば、「5分で終わるから今やろう」と思えるようになりますよね。漠然とした状態のままにすると、今週末、来週にはやろうとどんどん先延ばしされ、結局忙しさに流されて来週に持ち越されていくんです。
「これならできる」大きさまで分解すれば、「すぐやる人」になれる
――本書では、「やるべき行動をできるかぎり細かく分解する」というアプローチが紹介されていますね。
池田:頭の中で大きく膨らんでしまったイメージは、「なるべく小さく捉え直すこと」が大切なんです。大きいままだと圧倒されて手が止まってしまうので、「これならできそう」と思えるサイズまで落とし込んでいきます。
――イメージの大きさが、そのまま心理的な壁になっているんですね。
池田:そうなんです。掃除の場合、いくら後回しにしても、ずっと片付けていない物はそこに残り続けてしまう。「物は自動的にはなくならない」と海外の本にも書いてありましたが、結局、自分で片付けなければいけませんからね。
池田貴将氏 写真:照宮遼子
メールを未読のまま放置してしまう理由
――池田さんは、つい先延ばしにしてしまうことはありますか?
池田:メールを見るのを先延ばししてしまうことはありますね。メールって何を要求されるのかがわからないから、ストレスになるじゃないですか。30件も未読が積み重なると、もう怖くなって余計に開けなくなります(笑)。
――たしかに……。やらなければいけないことが迫ってきそうで、メールを開くのが嫌なときってありますよね(笑)。そういうときは、どのように対処されているんですか?
池田:仕事のメールは私のスタッフも見ているのですが、自分で確認する前にスタッフに「仕事の重さが10なのか100なのか、ボリュームだけ教えて」と伝えています。たとえ重めの仕事でも、締め切りまでに「1日これだけやればいい」という数字が見えれば、それは恐ろしいものではなく、ただの「タスク」になります。
人は「正体がわからないもの」に対して不安を感じやすいので、中身をはっきりさせて解像度を上げてしまえばいいんです。
「最初の一手」で何をするかがわかれば、スムーズに動ける
――日常のあらゆる場面で、「解像度を上げる」という考え方を使っているんですね。
池田:そうですね。「このタスクの『最初の一手』はなんだろう」と考える癖がつくと、手が止まりにくくなるんです。大きく見えているものを小さく分解する習慣が身につけば、先延ばしも起きにくくなりますよ。
――意志の強さは関係ないんですね。
池田:はい。動けない理由が「意志の弱さ」ではなくて、ただ「物事を大きく捉えすぎていただけ」とわかると、自分への見方がちょっと変わると思うんですよね。『人生アップデート大全』は動き出すための習慣をたくさん紹介しているので、何か一つでもきっかけになれば嬉しいです。
池田貴将氏 写真:照宮遼子
(本稿は『人生アップデート大全』に関する特別投稿です)
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役
リーダーシップおよび行動心理学の研究者。早稲田大学卒。
大学在学中に渡米し、コーチング理論を学んだ経験をもとに起業。セミナーを開催すると、たちまち「ラクにすごい結果が出た」「説明がおもしろくて理解しやすい」と企業リーダーたちの間で評判になり、ファンやリピーターが急増した。
現在はビジネスリーダー向けのスクールを主宰し、「行動を生む心理学」と「人格形成に関する知見」を統合した独自メソッドを伝えている。常に海外の最新の研究や文献を取り入れながら内容をアップデートしており、エグゼクティブやアスリートをはじめとするプロフェッショナル層から高い支持を得ている。
著書に『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『図解 モチベーション大百科』(共にサンクチュアリ出版)などがある。











