ANA・JALへの波紋は広がるか

 この巨大な揺さぶりは、日本の航空業界にとっても他人事ではない。航空連合スターアライアンスでANAはユナイテッドと、同ワンワールドでJALはアメリカンと、それぞれ強力なアライアンスを組んでいる。もし米2社が統合などすれば、太平洋路線の勢力図は一変する。ANAとJALの経営を支える国際線事業、とりわけ稼ぎ頭である日米路線の安定が脅かされるだろう。

 カービー氏が描く「現代のパンナム」という幻影は、中東や中国という外敵に対する防衛本能が生んだ究極のプロパガンダだと筆者は考える。合併という形では結実しなくても、今回のアドバルーンを上げたことで、航空業界のルールが何らかの形で書き換えられる可能性は否定できない。

 なぜならトランプ政権下で、論理よりも感情とディールが優先されること、従来の常識が通用しなくなったことを私たちは嫌というほど感じている。そのため合併が実現せずとも、この大胆な仕掛けによって米国エアラインが力を増す可能性は高い。折しもイラン情勢の緊迫化で世界の空は様変わりしている。新たな火種を注意深くウォッチしていくことが必要だ。

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ユナイテッドとアメリカンが合併か、米航空界の風雲児がトランプに仕掛けた「禁じ手」真の狙いにゾッとするユナイテッド航空機、サンフランシスコ空港にて Photo by Koji Kitajima
ユナイテッドとアメリカンが合併か、米航空界の風雲児がトランプに仕掛けた「禁じ手」真の狙いにゾッとするアメリカン航空機、ダラスフォートワース空港にて Photo by Koji Kitajima