ユナイテッド航空機、サンフランシスコ国際空港にて Photo by Koji Kitajima
米ユナイテッド航空のカービーCEOが、米アメリカン航空との合併の可能性をトランプ政権幹部に提案したと報じられた。実現すれば世界最大の航空会社が誕生する。単なる業界再編を超えた、巨大な政治劇の幕開けを予感させる。カービー氏の真の狙いとは?(航空ジャーナリスト 北島幸司)
米航空再編は巨大な政治劇の幕開けか
米ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOが、競合アメリカン航空との合併を検討中だと、トランプ政権の関係者に伝えたという。米主要メディアがいっせいに報じたこのニュースは、単なる業界再編のうわさを超え、「アメリカ・ファースト」「MAGA(Make America Great Again)」が見え隠れする巨大な政治劇の幕開けを予感させる。
冷静に分析すれば、業界トップ2の合併(実現すれば時価総額6兆円規模)が独占禁止法の関係当局に認められる可能性は、限りなくゼロに近い。それでもカービー氏がこのアドバルーンを上げた「真の狙い」はどこにあるのか――。トランプ大統領をそそのかし、台頭する中東や中国勢を力技でねじ伏せようとする、老獪な戦略が隠されているように思えてならない。
古巣を知り尽くした男が放つ「禁断の一手」
今回の合併報道を単なる「無謀な野心」と片付けられないのは、仕掛け人がカービー氏その人だからである。彼はユナイテッドのトップに就任する前、USエアウェイズ(2015年にアメリカン航空に吸収され消滅)とアメリカン航空に約10年にわたって在籍していた。
航空業界の歴史は、再編の歴史といっても過言ではない。そしてカービー氏は、かつて不可能といわれたUSエアウェイズとアメリカン航空の合併を内側から主導した経験を持つ。つまり、アメリカン航空の内部事情を知り尽くしている人物である。その彼が、今度は業界1位と2位をぶつけるという、いわば「究極のカード」を提示した。







