町工場、労働者の研修写真はイメージです Photo:PIXTA

どこの現場を見ても、外国人労働者が増えていると感じる人は多いだろう。コンビニ、建設現場、物流、介護など、すでに社会のあらゆる場所で欠かせない存在になっている。それでも政府は「移民政策はとらない」と繰り返す。この現実とのズレは、どこから生まれているのか。※本稿は、関西国際大学客員教授の毛受敏浩『移民1000万人時代 2040年の日本の姿』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

外国人は必要と認めながらも
政府は「移民政策はとらない」

 日本政府も人手不足への対応として「外国人労働者」の重要性は理解しています。その必要性について、当時の菅義偉総理そして次の岸田文雄総理も、外国人から「選ばれる国」を目指すと発言しました。つまり外国人労働者に日本に来てほしい、外国人労働者を呼び寄せようというものです。

 2024年5月24日、国会での「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改正をめぐる立憲民主党の石橋通宏参議院議員からの質疑の中で、岸田総理(当時)は「選ばれる国になることが必要不可欠」と発言しています。

 しかし、同日、別の答弁では「移民政策をとる考えはない」と述べています。これは技能実習制度を廃止し、新たに育成就労の在留資格を創生するための入管法の改正に関して、参議院の本会議で自民党の和田政宗参議院議員の質問に答えたものです。

 矛盾して見える2つの答弁から見えてくるものは、移民に対するタブーの存在であり、国民の間に定着した「ネガティブ移民」の認識に配慮して、移民政策をとらないと発言しているのです。しかし、これは二重の意味で間違った政策なのです。

 1つは、日本は定住する外国人、移民を必要としており、そのための政策は必要不可欠であること。2つ目は「移民政策をとらない」と政府が明言することにより、移民は好ましくない存在であることを政府が暗に認めたことになるからです。