年間5000人超が失踪…「ベトナム人技能実習生」の不法滞在を支える闇ビジネスの実態とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

2000年代後半頃から日本社会で増加している、ベトナム人技能実習生。外国人技能実習制度とは、日本が発展途上国に技術や技能を移転することを目的に発足した制度だが、実際には“失踪”する者が後を絶たない。「より良い生活」を夢見て多額の借金を背負ってまで来日した彼らはなぜ失踪してしまうのだろうか。※本稿は、石井光太『血と反抗 日本の移民社会ダークサイド』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

ベトナム人技能実習生が
急増した背景にある事情

 現在、日本に暮らすベトナム人の3人に1人が技能実習生となっている。

 日本で外国人技能実習制度が発足したのは、1993年だった。厚生労働省によれば、日本が先進国として「技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力することを目的」とした制度とされている。

 だがそれは表向きの話で、現実には、パキスタン、バングラデシュ、イランなどからの不法労働者を取り締まることで不足する労働力をまかなうために、外国人労働者を安価に、かつ合法的に呼び込むためのものとして利用されていた。

 人手不足に陥った産業界でブラジル人や中国人の代わりに労働力を担ったのが、ベトナムからの技能実習生だった。

 ベトナム人技能実習生の数は、2000年代後半から増加しはじめ、2016年には中国人を抜いて国内で1位となった。そして、現在は20万人に達し、全技能実習生の約半数を占めるまでになっている。