共生は進むが課題も残る
新宿区のリアル

 筆者は2012年に、新宿区の条例で設置された「新宿区多文化共生まちづくり会議」の初代会長を務め、現在も副会長を務めています(2025年11月現在)。

 新宿区多文化共生まちづくり会議は、外国人住民と日本人住民の調和を図ることを目的としており、30名近いメンバーの約半数は多国籍からなる外国人住民、残り半分は地元の町内会長や商店街の会長、一般住民、学識経験者から成ります。

 ここでは、多文化共生に関する区長に対する提言を行うことを目的に、2年程度を目途に数カ月おきにメンバーによる議論が行われます。2時間の会議では発言者が途切れることなく、極めて活発な会議が毎回行われます。

 この場で各国の住民を代表して地域で暮らす外国人の実情や課題が提示される一方、日本人住民からは本音での外国人に対する意見が出されます。外国人と日本人が共に対立することなく、また地域を盛り上げていきたいとの共通認識が十分に醸成されており、建設的な議論が行われています。

 さて、新宿区の外国人に関して、メディアで国民健康保険への未加入が、問題として取り上げられるケースがあります。国保加入世帯のうち、外国人は3割を占めるものの、納付率は52.7%にとどまるのです(「国保滞納、悩める自治体」2025年11月2日、日本経済新聞)。

 新宿区には日本語学校が全国で最も多く50校以上あると言われており、外国人学生が極めて多い地域です。

 国民健康保険未加入は、アルバイトで得た賃金を外国人学生が学費、生活費に回して保険料を払うのを怠るケースが考えられる一方、国民健康保険の仕組みについて十分な説明を受けておらず、理解していないことも考えられます。学生であっても加入は必須である、という認識を徹底させる必要があります。

 こうした問題がある一方で、新宿区において外国人はなくてはならない存在です。日本語学校や大学、専門学校で学ぶ外国人は高度人材の卵でもあり、また日本語が一定程度、理解できる人たちです。

 新宿区の新大久保駅周辺は外国人の起業家による商店やレストランが軒を並べており、東南アジアのような生活力を感じさせる混沌とした街の様子が、多くの日本人の若者をひきつけ、平日でも混み合うほど活気にあふれています。