こうした状況について眉をひそめる日本人住民がいる一方、新宿の活気、活力の源泉には外国人が欠かせないという認識も定着しているとも考えられます。

外国人が多くても
トラブルは少ないという事実

 図表13は新宿区が実施した「令和5(2023)年度新宿区多文化共生実態調査報告書」から抜粋したものです。

図表13同書より転載 拡大画像表示

 このグラフは日本人に対する質問項目として、「近所に外国人が生活することについての考え」を聞いています。日本有数の外国人の多い新宿区ですので、読者の多くは外国人とのトラブルが多発し、外国人に対して否定的な意見を持つ日本人住民が多いと想像されるでしょう。

 しかし、結果は逆です。外国人が近所に住むことが好ましいと考える人が、好ましくないと考える人より圧倒的に多い結果となっています。「好ましい」と「どちらかといえば好ましい」を合わせると38.9%、一方の「好ましくない」「どちらかといえば好ましくない」の合計は10.8%に過ぎません。

 すべての年代において「好ましくない」より「好ましい」が上回っているのです。

 さらにこの図表で注目すべきは、若い世代ほど「好ましい」と答える世代が多いことが明確なことです。20~29歳では「好ましい」と「どちらかといえば好ましい」を合わせると52.9%と過半数を超えています。一方、70歳以上では26.9%に留まります。

 この数字を見る限り、年齢の高い世代より若い世代の方が外国人受入れに肯定的です。

若い世代ほど外国人を
当たり前に受け入れている

 若い人ほど外国に対してアレルギーが少ない傾向は、新宿区の調査だけではなく、法務省出入国在留管理庁が実施した調査でも同様の傾向が見られます。

書影『移民1000万人時代 2040年の日本の姿』(毛受敏浩、朝日新聞出版)『移民1000万人時代 2040年の日本の姿』(毛受敏浩、朝日新聞出版)

 2023年10~11月に実施された全国を対象とする「外国人との共生に関する意識調査(日本人対象)」では、地域社会に外国人が増えることに対する感情に関して、「好ましい」が28.7%、「好ましくない」が23.5%、「どちらともいえない」が47.3%の結果となっています。

 この調査においては5歳刻みで統計をとっていますが、新宿区の報告と同様に若い世代ほど「好ましい」が多い結果となっています。

 若い世代は、学校や近所に外国人がいるのが当たり前の時代に育っており、高齢者が持つような外国人に対する強い抵抗感がありません。

「失われた30年」の後の現在の社会に育つ若者の生活は必ずしも豊かではありませんが、彼らにとって外国人は特別な存在ではもはやありません。

 日本の未来を担うのは若い世代であることを考えれば、彼らの意識こそが外国人の受入れの方針を決める際に重要視されるべきであり、客観的な事実をもとに外国人受入れについて未来志向の議論が行われることが必要です。