賢人100人に聞く!日本の未来#50
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8月末、医療ITベンチャーのキュア・アップが開発した治療用スマートフォンアプリが国内で初めて薬事承認され、年内にも保険適用される見通しだ。薬より開発コストが安く、医療費削減の救世主としても期待されている。コロナ禍で古い岩盤が崩れゆき、医療現場におけるデジタルデバイスへの抵抗感が薄れる中、治療用アプリが薬に取って代わる時代が到来するのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#50では、キュア・アップ社長で医師の佐竹晃太氏に、治療用アプリ、そしてデジタルヘルス市場の期待値について聞いた。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

オンライン診療解禁で岩盤崩壊
アプリで病気を治療する時代に

――新型コロナウイルスの感染防止策として、オンライン診療(パソコンやスマートフォンなどを用いてインターネット上で行う診療)の初診が解禁となるなど、医療現場におけるデジタルデバイス活用を阻んでいた岩盤が一気に崩壊した感があります。ヘルステック・医療IT業界全体としてはこのコロナ渦は追い風になったのではないでしょうか。

 コロナの影響で患者さんがなかなか集まらないなど、治験(臨床試験)に少々遅れが出ていますが、他の産業と比較すると、今後圧倒的に社会的なニーズが高まっていくだろうという予感はしますね。

 当社では、企業の健康保険組合向けにアプリを使った禁煙プログラムを提供しているのですが、喫煙者はコロナ重症化のリスクが高いことが知られるようになり、禁煙意識の高まりで、このサービスの売り上げが伸びています。

――慶應義塾大学と共同開発した禁煙治療用アプリ「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」(CureAPP SC)が、8月21日に薬事承認されました。治療用アプリとしては、国内第1号となります

 外からは順調そうに見えたかもしれませんが、やはり本邦初の承認事例ということで、良くも悪くも関係各所からの関心が高く、薬事審査を行う厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)も非常に慎重になっていたようです。

 通常、医療機器であれば、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で承認が得られると、その後約2~3週間で厚生労働大臣から正式な薬事承認が下りるのですが、今回のアプリは審議会の承認が6月19日。それから薬事承認まで約2カ月ですから、やはり従来のケースよりも時間はかかったのだと思います。

――昨年のビジネス戦略記者発表会では、このアプリの保険点数(国から支払われる医療費)が、今後のデジタルセラピューティクス(DTx:スマートフォンアプリなどのソフトウエアを用いて行う治療)の市場規模を左右するとおっしゃっていました。

 保険点数に関しては、非常に難しい落としどころを迫られているところです。