文部省は、85年にいじめの「緊急調査」を行い、以後86年からは毎年、学校からのいじめ発生件数の報告に関する調査を行っています。しかし、85年度は7カ月間で15万5000件だったいじめが、86年度は1年間で5万3000件、87年度は3万5000件と、急速に収束したような数値となっていました。
同書より転載 拡大画像表示
いじめが国会や報道で話題になっていた時期は発生件数が増えていて、報道などが沈静化すると、なぜかいじめの発生件数も減ってしまったというわけです。
発生件数が減ったからといって
いじめが少なくなったわけではない
この調査では、いじめへの関心が低い、対策をきちんとしていないというところほど、いじめに気付けず「いじめはない」と回答し、実際に起きているいじめが見過ごされてしまったと思われます。
むしろ、いじめ対策をきちんとしていて、いじめに気付くことができたところほど「いじめはある」と回答できるのです。特にこの頃は、いじめに対する教育現場の意識にまだまだ温度差があり、それがこうした調査結果に表れていると読み取るべきでしょう。
なお2006年に、いじめの「発生件数」は「認知件数」と呼ぶように改められました。「いじめはそもそも第三者の目には見えにくく、すべてを発見することは不可能だから、教員が認知した件数は発生件数の一部に過ぎない」という理由からです。そして積極的に認知しようと教育現場が取り組んだ結果、現在は約77万件のいじめが認知されているというわけです。
毎年調査結果が公表されるたびに、「いじめの認知件数が多い地域」は酷い地域だ、と誤解を招くジレンマが起きていますが、むしろ「いじめ対策をしてくれているからこそいじめを発見できるんだ、いい地域だ」と捉えるべきなのです。







