しかしながら、実は、より重要なのは「未来の自分」に向けての配慮なのです。

 その仕事に取り組んでいる、今、この瞬間は、目に見える全てのファイルのことを理解しています。ファイル名を見るだけで、中に何が書いてあるのかもわかります。関連資料を探し出すことも容易です。

 ただ、3カ月、半年、1年がたつと、それらに関する記憶はあやふやになっていきます。

 当然ですね。そのときそのときに、取り組むべき仕事がありますから、そこに脳のリソースの大半を使ってしまうわけですから。

 そうなると、過去の細かいことを覚えていられるわけがないのです。

 そうやって、過去にいろいろと思い悩んで、考えて、作り切った資料がデータの山の中に埋もれていってしまうのは極めてもったいないことです。

 先ほどの例のように、ルールに則ってファイルを整理していれば、後から振り返ろうとした際に、必要な情報に簡単にアクセスできるはずです。

 また、ここでのポイントは、どのプロジェクト・案件でも、中の構造が同じになっていることです。

 最新プロジェクトも、古いプロジェクトも、同じ構造になっているからこそ、いつでも同じように情報を探し、欲しい情報にたどり着けるのです。

 先ほどの例では簡素化してお伝えしましたが、私がコンサルティングプロジェクトに従事する場合、クライアント名・案件名のフォルダの中は、以下のように整理しています。

―――
┗ ○○社様・××案件
 ┗ 00.前提知識・引継ぎ資料
 ┗ 01.提案書
 ┗ 02.納品成果物
 ┗ 03.MTG資料
 ┗ 90.受領資料
 ┗ 99.参考資料
―――

 だいたいこんな感じです。

 コンサルティングにおいては、クライアントとの打ち合わせを軸に物事が進んでいくことが多いため、「03.MTG資料」の中に、多くの日付名のフォルダが作成され、大量の作成中資料が格納されて行きます。

 その中で、先方に「納品する」となったものが「02.納品成果物」フォルダに集約されます。

 また、クライアント打ち合わせの議事録を、「03.MTG資料」配下の日付フォルダ内に格納するのか、「04.議事録」として切り出すのかは、プロジェクトによって異なります。利害関係者が多く、「議事録に書かれているかどうかが、エビデンスとして重要」という場合には、別フォルダにすることが多いように思います。

 このファイル構造であれば、

・「何を提案したのか」を知りたければ、「01.提案書」を見る。

・「最終的にどういう結論に至ったのか」を知りたければ、「02.納品成果物」を確認する。

・「プロジェクトにおいて、どういう資料を作成し、どのような議論を行ったのか」というプロセスを追いかけたい場合は、「03.MTG資料」(場合によっては「04.議事録」も)を発掘する。

 という動きで、全てのプロジェクトの資料を、目的に沿って探すことができます。

 繰り返しますが、具体的に、どういうファイル名・フォルダ構造のルールにするのかは、会社や部門によって異なります。それに優劣はありません。

 しかし、大切なのは、「そのルールに則っておけば、後で助かる」ということです。

 ぜひ新人・若手社員の皆さんに、このあたりの感覚を早々にお伝えして、しっかりと理解・実践してもらうようにしていただければと思います。