頑張っているのに、結果がついてこない」「必死に仕事をしても締め切りに間に合わない」同僚は次々と仕事を片付け、成果を出し、上司にも信頼されているのに、「なんでこんなに差がつくんだ……」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?
ビジネススキルを発信するTikTokのフォロワーが20万人を超え『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった「超優秀な人が秘かにしている仕事のコツ」を本記事で紹介します。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

「がんばっている」のに、仕事ができない。仕事ができる人は「がんばる前」に何をする?Photo: Adobe Stock

「基準の違い」をすり合わせる

コミュニケーションにおけるすれ違いは、プライベートでも仕事でもよく起こるものです。

今回は、その原因と解決方法について詳しく解説していきます。

まず、プライベートでの例を挙げてみましょう。父親と息子が一緒に野球をしていたとします。

息子は「野球を頑張ろう!」という気持ちで一生懸命取り組んでいます。

しかし、父親は「お前はまだ全然頑張れていない」と厳しく言います。

息子としては精一杯努力しているにもかかわらず、父親から褒めてもらえない。

このような状況がなぜ起きるのかというと、実は両者の「ゴール」が異なるからです。

父親は息子を甲子園に連れていきたいと考えており、一方で息子は地元のチームでレギュラーとして試合に出場できるようになることを目指しています。

ここには大きなギャップがあります。

具体的に言うと、父親は「甲子園出場」という高い目標を掲げており、そのためには打率3割を維持し、ホームランを何本も打てる選手になる必要があると考えています。

一方、息子はまずレギュラーとして試合に出られること、例えばヒットを打てるようになることを目指しています。

このように、目標地点が異なると、努力の評価基準もずれてしまいます。

息子は自分なりにレギュラーを目指して努力しているのに、父親からは「全然頑張れていない」と評価されてしまうのです。

こうしたすれ違いを防ぐために重要なのは、「どこまで頑張るのか」という努力の基準をしっかり共有することです。

たとえば、「まずはレギュラーを目指して、そのうえで甲子園じゃなくて、地区大会で入賞するくらいまで頑張ろう」と話し合い、目標地点を一致させることで、努力の方向性が揃い、無用なすれ違いがなくなります。

次に、仕事における例を見てみましょう。

ある社員Aさんの営業力を高める必要があるという課題に対して、部長と課長が意見を戦わせていました。

部長は「訪問件数を2倍に増やせ」と言いますが、課長は「営業に必要な知識を身につけさせた方が良い」と主張します。

ここでも、両者の考える「営業力」の定義と目標が異なっているのです。

部長は、Aさんを「社内トップクラスの営業」に育てたいと考えています。

一方で課長は「まずはヘルプなしで一人で営業できるようにすること」が目標です。

つまり、目指すレベル感が大きく異なっています。

この状態では、いくら解決策を話し合っても平行線をたどるだけです。

ですから、まずすべきことは、「営業力とは何か」「どこまで営業力を高めるのか」を明確に定義し、共通認識を持つことです。

「まずはヘルプなしで営業できるようになることを目指そう」と一致すれば、次に必要なステップも自ずと見えてきます。

このように、コミュニケーションのすれ違いの多くは、「目標のズレ」や「基準の違い」から生まれます。

実に9割以上がこのような原因によるものだといっても過言ではありません。

ですので、プライベートでも仕事でも、「なんとなくズレているな」と感じたときは、まずこの点を疑ってみることが、円滑なコミュニケーションを実現するための鍵となるのです。

(本記事は『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者、西原亮氏が特別に書き下ろしたものです)