現にガザで作戦中のイスラエル兵士が、「我々は自分たちの家に帰ってきた」と手書きしたイスラエル国旗や、「入植だけが勝利だ」といったバナーを掲げた写真をSNSに多数アップした。
2025年8月末に行なわれた意識調査でも、40%のユダヤ人回答者がガザへの再入植を支持しており、34%がイスラエルによるガザ支配を支持していた。
ガザが安定しない限り
イスラエルは撤退せずに済む
停戦計画によると、停戦第2段階に当たる移行期間中のガザ統治では、トランプ大統領が議長を務める平和評議会が統治主体として主要な決定をし、その監督下に置かれる無党派のパレスチナ人からなる暫定委員会が日常的な行政を担当する。
また多国籍の国際安定化部隊が治安維持に当たり、イスラエル軍は順次撤退することになっている。だが計画の内容は曖昧で、第2段階が想定している本格的な復旧・復興がいつ始まるかまったくわからない。
テロの脅威再発の危険があると主張する限り、イスラエルは軍を撤退させる必要はない。ネタニヤフ自身も「ガザから軍を撤退させない」と繰り返し表明している。
さらに連立政権内では、宗教シオニズム政党だけでなくリクード内からも、ガザのイスラエル軍支配地域にユダヤ人入植地を再建すべきだとの声が上がっている。
停戦が実現し、ガザ住民が絶え間ない攻撃にさらされる頻度が減ったことは好ましい。だが停戦によってガザの現実は大きく変わった。
『「世界を動かす宗教」講義』(池内 恵、PHP研究所)
イスラエルとハマスの支配地域に二分され、パレスチナ住民のほとんどは以前のガザの半分以下の地域に押し込められ、いつ終わるとも分からない避難生活を余儀なくされている。この現実がある限り、ガザが安定化するとは思えない。
パレスチナ人との紛争を政治的に解決する方策を真剣に追求しないまま、イスラエルは力による占領と抑圧を続けてきた。
その結果の1つがガザ戦争である。この間にもイスラエルのユダヤ社会内では、宗教的信条ゆえにパレスチナ問題にいっそう非妥協的な宗教シオニズムやその他の右派勢力が拡大した。
もはや宗教シオニズム政党を「極右」と特別視することはできない。水面下に大イスラエル主義という巨大な潮流が存在しているからだ。
彼らは自分たちが感じた屈辱と恐怖を癒し、誇りを取り戻すために、過剰な力の行使を称賛した。さらに彼らは、ガザに対する再支配を実現しようとしている。







