「あの時、手付金が20%と言われたんです。ということは、手出しで約5000万円を入れ、残りはローンを組んで購入していたら、たった1年半後にはザクッと6億円プラスされて戻ってきたっちゅうことになります」
5000万円が、1年半経つと8億8000万円になる。こういうことが起こるのが、東京都港区なのだ。
5億円の部屋であっても抽選倍率は30倍になった。なんてったって「三田ガーデンヒルズ」である。買い手はいる。必ず売れる。そして「持てる者」はさらに富む。
資産を「持てる者」と「持たざる者」との間に、これほど明確な差を生む1年余りがあっただろうか。『21世紀の資本』で格差を論じたトマ・ピケティ先生だってびっくり仰天するはずだ。
高級マンションの購入者は
コロナで融資を受けた地方の富豪
都内のマンション高騰の理由を取材する過程で、さらに分かってきたことがあった。それは、港区タワマンをはじめとした東京不動産の買い手には、地方の法人や企業経営者という顔ぶれも多かったことだ。
コロナ禍では、中小企業を救済する様々な支援策が打たれた。実質無利子・無担保融資制度のいわゆる「ゼロゼロ融資」だ。正式名は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」といい、政府主導のもと、民間の金融機関と日本政策金融公庫が実施した。
ある不動産会社社長は、銀行とタッグを組み、コロナが収束に向かう時期、都心の不動産を売りまくったと話した。
「銀行は、融資先の法人口座にいくらあるかわかっています。現金がこんだけあるなら、今のうちにタワマンに変えておいた方が何かといいと提案するわけです。理由は簡単で、銀行からすれば利子で稼ぐより、私に客を紹介して手数料をとった方が何十倍も稼げるからです」
この社長は、あるメガバンクの営業担当に、中古ゴルフショップの社長を紹介された。緊急事態宣言中、一時的に閉店したことで業績が落ち、持続化給付金やゼロゼロ融資などを受けたが、その後コロナ禍で火がついたゴルフ人気で今や絶好調。そこで、不動産購入の話が持ち上がり、銀行主導で1億5000万円の台東区の駅近分譲マンションを購入した。
「不忍池が見える最上階で、そのゴルフショップの社長は『賃貸で回せば50万円の副収入が入る』と大喜びでしたよ」と、不動産会社社長は語った。







