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マンション管理に毎日付いて回る「コスト」問題。大規模修繕工事によくありがちな「多数の業者を集めて相見積もり」という方法は、実は今の時代には逆に管理組合にデメリットが生まれる可能性がある。安い工事は価値ある工事なのか?連載『マンション羅針盤』の第24回では、この時代だからこそ改めて、マンション管理コストの在り方について考えてみよう。(フルニール代表 中村優介)
今重視すべきは価格を下げることではなく
優良会社から相手にされるマンションであること
管理費が高い、修繕積立金が足りない、管理会社から管理委託費の値上げを打診された、工事見積もりが以前よりかなり高くなった――。マンション管理士として受けるどのような相談内容でも、ほぼ付いて回るのがお金の話です。今も昔も、マンション管理においてお金の話を避けて通ることはできません。
工事費も人件費も上がり続け、さらにイラン情勢に伴う不安定な状況等も相まって管理費や修繕費の上昇は今後も続くことが必至です。こうしたことから、マンション管理の現場では「高い」「安い」という議論が日々繰り返されています。ただ、コスト問題を「価格」だけで捉えると、誤った結論に至りやすいのです。
実際には、担い手不足や物価上昇だけでなく、管理組合側の発注の仕方、合意形成の問題、業者との付き合い方まで含めて、コストは決まってくるものだからです。今問われているのは、単に価格を下げることではなく、価値を提供できる会社から相手にされるマンションでいられるかどうかです。
マンション管理を取り巻く環境・制度は改善されてきています。マンション関係法改正の中核ともいえる改正区分所有法が2025年に成立し26年4月から施行され、国土交通省からも、再生、売却、改修、除却などに関する各種マニュアル案が示されました。
ただ、制度の選択肢がどれだけ増えたとしても、それを生かし、マンションの価値を最大化できるかどうかは管理組合の意思決定や運営手腕に懸かっています。マンション管理におけるコストの話を、「価格」だけではなく、どういう「価値」を得られるかという観点から詳しく考えてみましょう。そもそも見積書の数字には表れない「価値」とは何か、それを提供できるのはどのような業者なのか。価値を提供できる業者が寄り付かない管理組合が取りがちな行動とは何か。あるいは良質な業者に好かれる管理組合の行為とは何か。複数の事例を具体的に紹介します。また、管理組合側が今すぐにでもやめるべきことを含めて、次ページから詳しく見ていきましょう。







