では、サウナで突然死してしまわないようにするにはどのようにすればいいのでしょうか。サウナ好きの人には言いづらいのですが、これまでの入り方は改めてもらわなければならないかもしれません。

 私がおすすめしたいのは、サウナ室で5分間温まったら、最後にシャワーで冷たい水をサッとかけて上がる、というものです。サウナ好きや「整った」状態を追い求めている人はガッカリしてしまうかもしれませんね。

 しかし、健康になるために入っているサウナで命を落としては本末転倒です。自分の体調や持病を考えつつ、短時間だけ楽しむことをおすすめします。

交通事故死者の10倍以上が
風呂で命を落としている?

 突然死は、サウナだけでなく、お風呂場でも起こります。みなさんも「ヒートショック」という言葉を聞いたことがあるでしょう。正式な医学用語ではありませんが、メタボリック症候群やエコノミークラス症候群のように、世の中に浸透しつつあります。

 ヒートショックとは、主に65歳以上の方が冬場に40度を超えるやや高めの設定温度のお湯に浸かることで体調不良を起こすことを指します。入浴中の急激な温度変化によって血圧が急激に上下し、失神、不整脈、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)を起こし、最悪の場合は溺死・急死してしまう、恐ろしい現象です。

 2023年、浴槽内で不慮の溺死及び溺水(できすい)によって亡くなった高齢者の数は年間6541人とされています(厚生労働省「人口動態統計」をもとに消費者庁が集計)。実際は、報告されず統計に含まれていないケースとなるともっと多く、ヒートショックで亡くなった人は年間2万人とも3万人とも推計されています。

 ちなみに、同年の交通事故死亡者数は2116人。浴槽内で亡くなる人の数が、いかに多いかがわかります。

 以前からヒートショックで亡くなる高齢者が交通事故死亡者数より多いことが問題になっており、私も東京で働いていたときは年間50例以上、浴槽内死亡の解剖を担当していました。