ホテル業界関係者が“異端児”として注目しているのが、カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントだ。きらびやかな内装と露天風呂が特徴で、“4つ星ホテル”をコンセプトに業容を拡大してきた。特集『狂乱バブル ホテル大戦争』の#24では、同社の穂積輝明会長兼代表取締役社長を直撃。「2030年までに1万室」という大目標を達成するための“秘策”を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)
21世紀は「風呂と癒やしの時代」
1号店から露天風呂とサウナを完備
――カンデオホテルズはスカイスパとサウナに力を入れています。
21世紀は「風呂と癒やしの時代だ」と自ら言い聞かせていました。実は種を明かせば、私が大の風呂好きなのです。
もちろん、自身が風呂好きということだけではありません。お客さまのニーズがあったからです。というのも、「地方出張でビジネスホテルに泊まるとユニットバスは使いにくい」というビジネスパーソンの声を聞きました。お客さまにくつろいでもらいたいと、1号店から露天風呂と内風呂、水風呂とサウナを設置しました。今では、海外の方も大浴場を使います。
――訪日外国人旅行者(インバウンド)が活況です。カンデオホテルズのインバウンドは、どの程度伸びていますか。
新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限が解除されて以降、しばらくは反動需要があったように思います。現在は東京、大阪、福岡はコロナ禍前を超えており、地方は場所によって差がついている状況です。売り上げ全体に占めるインバウンドの割合は30%ほど。ただし、本来は25%ほどになるよう、コントロールしたいと思っています。
――それはどうしてですか。
われわれは日本のオペレーターなので、ぜひとも日本のお客さまに宿泊してもらいたい。また、日本では接客態度ににじむ心遣いや礼儀を評価するのに対し、海外の方はフランクな接客を好む人も多い。日本人のお客さまと向き合うことで、サービスの質を維持できると考えています。
カンデオホテルズはロードサイド型から出発し、首都圏や関西のビジネス街や繁華街に進出してきた。次ページでは、目標である1万室に向けた、独自の三つの出店戦略を穂積会長兼代表取締役社長が開陳する。穂積会長は競争が激しい東京エリアでの出店に対する考え方や「ホテル学校」構想なども明かす。