柴:あの強固な土台があったからこそ、対応できたんです。衝突安全性能も年々厳しくなってきていますが、改良を加えることなく対応できています。やはり最初に造ったものがしっかりしていたということだと思っています。

加:もちろん苦労がなかったわけではありませんよ。ソフトウェアの開発が、19年前とは比較にならないほど増えていますから。さらにADAS機能への対応、電子アーキテクチャーの刷新。そこは非常に大変なところでした。一方で骨格そのものはびくともしなかった。大変だったのはそっちの方です。

F:なるほど。土台をいじらなくて済んだからこそ、電子制御の熟成に全精力を注ぎ込めた。かくして20年目にして過去最高の販売台数、と。すると気になるのが、今回新しく搭載された「S-AWC」の中身です。これはそのままローマ字読みで「エス・エーダブリュシー」と読めば良いのですか? スワックとかじゃなく。

加:そのまま読みます。S-AWC、スーパー・オール・ホイール・コントロールです。

S-AWCとは?S-AWCとは? Photo:Mitsubishi Motors

3システムを統合制御する「S-AWC」とは何か

F:今までは入っていなかった?

加:デリカには入っていなかったです。S-AWCというのは、3つのサブシステムを統合制御するシステムです。4駆の前後トルク配分、左右のトルクベクタリング、そしてABSや横滑り防止のASC。この3つを統合制御するのがS-AWCで、今まではそれぞれ別個に動いていました。

F:この3つは以前のデリカにも入っていましたか?

加:いえ。トルクベクタリングだけは入っていませんでした。4駆と、ABS・ASCはありました。今回、左右輪間のトルクベクタリングが加わったことで、全部をまとめて統合制御できるようになった。それが今回のデリカのS-AWCです。

F:トルクベクタリングというのは、左右のタイヤに差をつけることですよね。どうやってやるんですか。

加:デリカの場合はブレーキを使っています。走行状況に応じて片側にほんの少しブレーキをかけることで、旋回時の車両安定性を高めています。よく言うGボール、横G・前後Gを円で表したものがあるんですが、4駆もベクタリングもブレーキも、それぞれ得意な領域が違う。これを単独で動かしていると、得意な領域でしか動かせないのですが、統合制御することで全部の領域をぐるっとカバーできるようになります。

F:ランエボとは違うのですか?