人を不快にする人は「すぐに謝る」。じゃあ感じのいい人はどうする?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さん。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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クレーム対応で大事なこと
「労働施策総合推進法」の改正により、2026年10月、企業にはカスタマーハラスメント対策を講じることが義務付けられることになりました。これに伴い、あちこちで関連セミナーが開かれています。
私は20年以上、企業でクレーム対応に関わってきました。
そこでつくづく思うのは、普段からの顧客対応力を磨くことこそが、最強のカスハラ対策であるという点です。
クレームが生まれた時点で、初期対応が適切であれば、その多くは大ごとになることなく、収束します。
「すぐに謝る」より大切なこと
初期対応の最初の一言。
まずは「お詫び」と思いがちですが、実はその前に大切なものがあります。
それは、相手の申し立てに対する「リアクション」です。
例えば、飲食店で、運ばれてきたお皿に「髪の毛が入っていた」とします。
それを伝えたときに、被せるかのように「申し訳ありません!」と言われたら、どうでしょう。
あまりの素早さに、あたかも「よくあること」として、謝りなれている印象を受けないでしょうか。
口に入れた瞬間に「おいしい!」と反応する食レポが、どこか「用意していた言葉」のように聞こえるのと同じです。
間髪入れないお詫びは、時に「早くその場を収めたい」という事務的な温度感として伝わってしまうのです。
そこを、まずは「髪の毛が入っている」と言った途端に、「えっ!」とか、「髪の毛が!?」と返されたらどうでしょう。
そのリアクションこそが、「あってはならないことが起きた」という衝撃として相手に伝わります。
謝るのは、その次です。
相手のトラブルを自分ごととして受け止めた反応があるからこそ、次のお詫びに誠実さが宿ります。
感じのいいひと言とは?
もう一つ、「あってはならない感」をプラスするワードをご紹介しましょう。
それが、「すぐに」という一言です。
「新しいものをお持ちします」
「すぐに、新しいものをお持ちします」
どちらが誠実でしょうか。
たった三文字ですが、「すぐに」を入れるだけで、「あなたを最優先に考えています」という温度が伝わります。
いずれも、お客様から「あなたに誠実に対応してもらえたから、もういいですよ」と言ってもらえた人たちが、無意識に使っている「感じのいいひと言」です。
防御を固める前に、この「瞬間」の誠実さを磨くこと。
これこそが、トラブルを未然に防ぐ、最も賢い方法なのです。
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。著書に5万部を突破した『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)がある。





