オンワード樫山元社長の馬場彰
料理研究家の枝元なほみ

 経済界で活躍した卒業生では、38歳で既製服メーカー「樫山」の社長に就いた馬場彰がいた。当時、9人いた取締役の末席だった。その後、オンワード樫山、さらにオンワードホールディングスと社名変更をし、馬場は97年に会長に就任、05年から名誉会長を務めた。「小説や映画が大好きな文学少年だった」と、高校時代を回想している。25年8月に死去した。

 京成電鉄の第9代社長をした大塚弘もいる。

 高女最後の卒業生である篠崎孝子は、横浜を拠点に店舗展開する書店・有隣堂の創業者の次女だ。95年から4年間、第5代社長を務めた。横浜市内に中・高校を持つ山手英学院の理事長も務めた。

 鎌倉市の出版社、かまくら春秋社代表の伊藤玄二郎もいる。永森邦雄と河野誠は神奈川県立図書館長をした。

 洋菓子店「横浜かをり」は、レーズンサンドで横浜では名の知れたお店だが、創業家である板倉タケは高女卒だった。

 料理研究家の枝元なほみは、25年2月に69歳で死去した。NHK「きょうの料理」など数々の料理番組に出演、雑誌や新聞などの連載も多く、「エダモン」の愛称で親しまれた。19年からはNPO法人「ビッグイシュー基金」の共同代表も務め、路上生活者の支援活動を行っていた。

 学者・研究者では、哲学者でお茶の水女子大学長、国立大学協会副会長を務めた羽入佐和子がいる。16~20年国立国会図書館長に就いた。同館長に女性が就任したのは1948年の開館以来初めてだ。文科省日本ユネスコ国内委員会副会長、帝京大特任教授なども歴任した。

 物理化学の内田登喜子、宇宙物理学者で長年、米国の大学で教授をした鶴田幸子、経営学の稲葉元吉、環境・エネルギーシステム学の斎藤隆之、素粒子物理学の佐藤伸明らがOG・OBだ。

 数理社会学の数土直紀は、一橋大大学院社会学研究科教授だ。東大文学部社会学科卒だ。『日本人の階層意識』など著書多数。

 言語学者・日本語学者の石黒圭は、国立国語研究所教授、総合研究大学院大教授だ。教科書出版社の教科書編集委員などを務めている。24年に文化庁長官表彰を受けている。

 平田大二は地質学が専門で、神奈川県立生命の星・地球博物館(小田原市)の元館長だ。

 生殖内分泌学者の広井正彦は、山形県立保健医療大学長をした。

「政官」の分野では、労働官僚出身で参院議員(日本社会党)となり、細川連立内閣で経企庁長官を務めた久保田真苗がいた。

 国際機関で仕事をしている卒業生もいる。外務官僚の高須幸雄が国際連合事務次長、国連大使などを歴任した。

 労働官僚出身の堀内光子は、国際労働機関(ILO)事務局長補を務めた。児童労働ネットワークの代表も務めている。

 鎌倉市で小児病院を開いていた養老静江が高女時代の卒業生だ。解剖学者で元東京大教授の養老孟司(神奈川県・私立栄光学園高校卒)の母だ。94年に荻野吟子賞を受賞した。

 五神(ごのかみ)嘉子は地元の神奈川県で、民生委員・横浜地裁民事調停委員などの社会福祉活動に尽くした。横浜平沼高校の同窓会・真澄会会長を二十数年間務めた。15~21年、第30代東大総長に就任した光量子物理学者の五神真(私立武蔵高校卒)の母だ。(敬称略)

(フリージャーナリスト 猪熊建夫)