今から1分間、鼻呼吸だけに注意を向けてみてください。姿勢は、背筋を軽く伸ばし、肩や腕、脚の力は抜いてリラックスします。無理に姿勢を正そうとする必要はありませんが、呼吸がしやすい状態をつくってみてください。
準備ができたら、鼻から息を吸っている感覚、そして鼻から息を吐いている感覚に注意を向けます。空気が鼻を通る感覚、胸やお腹がわずかに動く感じ、その一連の動きだけを追い続けてみてください。
呼吸を深くしようとしたり、整えようとしたりする必要はありません。ただ、今起きている鼻呼吸に注意を向けるだけで大丈夫です。できるだけ他のことは考えず、「鼻呼吸だけ」に注意を置いてみてください。
もしその途中で、「別のことを考えているな」「今、呼吸から注意が離れていたな」と気づいたら、それを良い・悪いと判断せず、再び鼻呼吸に注意を戻します。気づいて戻す、それだけを繰り返してみてください。では、やってみましょう。
実際に1分やってみて、どうだったでしょうか。1分間ずっと呼吸に集中できていた、という方は、ほとんどいないのではないでしょうか。「最初の数呼吸はできたけれど、途中で別のことを考えていた」、そんな感覚を持った人が、多いと思います。
仕事のこと、今日の予定、さっき読んだ文章などが頭をよぎり、気づいたら呼吸から注意が離れていた。そんな瞬間が、何度かあったかもしれません。
この体験が示しているのは、とてもシンプルな事実です。注意は、基本的に逸れるものだということです。たった1分間、鼻呼吸に意識を向け続けることですら、簡単ではありません。これは意志の弱さでも、集中力が低いからでもありません。注意そのものが、そういう性質を持っている、というだけの話です。
「高い集中力」の正体は
注意が逸れても取り戻せる力
そして、ここで大切なのは、「注意が逸れなかったかどうか」ではありません。注意は一度逸れましたが、気づいて戻した。この「気づいて戻す」というプロセスこそが、実際に起きていた集中の働きなのです。







