実際に、現行の「ロードスター」には、最高出力136馬力のスタンダードな幌車グレードと、最高出力184馬力かつ電動ハードトップのRFグレードの2つが用意されている。
両者を比較すると、実はパワーのないスタンダード版が圧倒的に売れているのだ。もちろんパワーを求めるユーザーも一定数いるものの、決して多数派ではないことが証明されている。
マツダはこの傾向を改めて理解したのだろう。今年追加した最高出力200馬力のハイパフォーマンスモデル「マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター12R」は、わずか200台の限定となっている。
時代を先取りしすぎ!?
誕生するタイミングが悪かった「MX-30」
最後に紹介するのが、2020年10月に発売されたコンパクトSUV「MX-30」だ。
Photo:Anadolu/gettyimages
このモデルは、マツダの過去のスポーツカー「RX-8」に採用された観音開きのドア(フリースタイルドア)を搭載していることが最大の特徴である。4ドアではあるけれど、クーペ風に使うことを想定した、オリジナリティの高いモデルだ。
デビュー時のラインアップはガソリン車だけであったが、2021年にはEVを発売。2023年には、レンジエクステンダー(EVの航続距離を延ばすための補助的な発電システム)としてロータリーエンジンを搭載したPHEVを追加するなど、先進技術を搭載している。
ロータリーエンジンは、かつて一世を風靡したマツダ独自のエンジンであり、2012年に量産を終了。そこから約10年の時を経て、発電機として復活させた歴史がある。
個人的には、スッキリとしたクーペ風デザインは好印象であるし、走り味もマツダらしい「人馬一体感(ドライバーの操舵とクルマの動きがズレなく一致する感覚)」がある。EVの投入やロータリーエンジンの復活など、技術的にも興味を惹くポイントが多く、実に魅力的なモデルだと思う。
ところが、これがさっぱり売れていない。
発売以降の新車販売台数ランキングを見ても、50位までに名前さえ出てこない。2人乗りで実用性の限られる「ロードスター」よりも売れていないのだ。







