パワーは伸びたが、売り上げは伸びなかった
「ロードスターターボ」
続いては「ロードスター」シリーズの1台を紹介する。
ロードスターターボ 出典:マツダ ニュースリリース拡大画像表示
「ロードスター」は1989年にデビューした初代から、現行の4代目(2015年発売、2024年に大幅改良)に至るまで、常にコンスタントに売れ続けている。まさにマツダを代表するモデルだ。
しかし、その輝かしい歴史の中で、期待されながらも不発となったモデルがある。2代目(1998年発売)の末期である2004年に、350台限定で投入された「ロードスターターボ」だ。
開発の背景には、市場からの「パワー不足」を指摘する声があった。本家ロードスターは軽快な走りで人気を博した一方、モアパワーを求める要望も根強かったのである。
また、同時期にホンダが売り出していたオープンスポーツカー「S2000」の存在も大きかった。最高出力250馬力を誇る「S2000」は、しばしば「ロードスター」の比較対象とされていたのだ。
同じようなサイズのオープンカーでありながら、「S2000」は250馬力なのに対し、「ロードスター」は最上位グレードでも160馬力にとどまっていた。この性能差を埋めるべく、マツダが投入したのが「ロードスターターボ」だったのだ。
しかし、これも売れなかった。
350台限定という希少なモデルでありながら、実際の出荷台数は300台程度に止まったという説もある。後継車種が開発されず「幻のモデル」となったが、現在の中古車市場において、特段のプレミア価格で取引されているわけでもない。
売れなかった最大の理由は、ターボ化してもなお、172馬力という控えめなスペックにとどまったことだろう。
さらに言えば、先ほどの解説とは矛盾するようだが、ロードスターのファンは、心の底ではそれほどのパワーを求めていなかった可能性もある。







