彼が優秀な人間だったことは確かなのだが……。
僕が声を大にして言いたいのは、E君の母親のような価値観の古さである。
母親の言い放った「こんな会社」が、一般的な親たちの考え方を象徴している。新興のネットベンチャーなんて、お気に召さなかったのだろう。
では、逆に聞いてみたい。いったいどんな会社なら満足できるのか?
母親の言い分を意訳すると、「名の知れた老舗の大企業に息子が就職してくれれば、東大に入れた苦労も“報われる”」といったところだろうか。
しかし、「報われる」かどうかは本人が決めることだ。それなのに、勝手な決めつけで、子どもの選択を操作するなんて最悪ではないか。
しかも「大企業なら安泰」という価値観が古すぎる。今どき大企業も合併吸収されたり、買収されたり、倒産したりと決して安泰ではない。
親世代の思考は、「現時点から20年ほど前の“常識”で作られたもの」と考えたほうがいい。今の社会に通用するわけがないのだ。
若者を育てる大人と
チャンスを奪う大人
「世間は厳しい」などとわかったようなセリフで若者を押さえつける大人も多いけれど、これから訪れる未知の世間を理解しているわけではない。
これからの世間の当事者は、むしろ若い世代のほうだ。
だから「今」を生きたいなら、「今」の情報と感情を最優先にするのがいい。
親や親世代の命令に忠実に従って成功できたビジネスパーソンなんて、大していないのではないか。
これはE君だけの話じゃない。古い世代の顔色をうかがうのは、やめたほうがいい。それより“いい大人”とつながって、その長所をうまく吸収させてもらおう。
いい大人と交流すると、情報感度はアップする。若者の経験値の少なさをカバーしてくれたり、現状の実力では出会えない世界、出会えない人とつないでくれたりする可能性もある。心だって鍛えられる。
だから、いい大人からうまく情報をいただこう。それが若者の特権なのだから。
もちろんこれは、ある程度の年齢を重ねた人にも言えることだ。
『心を鍛える』(藤田晋、堀江貴文、KADOKAWA)
人生を充実させられるかどうかは、「自分の時間をいかに確保するか」にかかっていると僕は思う。
誰にとっても、1日は24時間しかない。だから「相手が自分のことをどう思うか」「他人にどう感じられているか」なんて考えなくていい。
たいていの大人は、若い人から時間や「変わっていくチャンス」を奪おうとする。言う通りにする若い人を好み、変わっていこうとする若い人を否定する。それが世の常なのだ。心を強くしたいなら、そんな大人をまず遠ざけよう。
大人に変えられてしまうようではダメだ。
むしろ、「あいつは変わった」と大人にあきれられるくらいが、ちょうどいい。







