イチロー選手の佇まいには
東洋的な様式美がある
──つくづく東洋思想のベースには、呼吸や瞑想のような身体技法からの影響が大きいと思わされます。
齋藤:確かに一流の日本人アスリートを見回しても東洋的な佇まいを感じるのは偶然ではないと思います。例えば、イチロー選手の格好よさは、東洋的な様式美である静けさが漂っています。バッターボックスに立つ時には凜とした緊張感があり、10年連続200本安打など結果として偉業を成し遂げました。いわば長年修行をしてきて、今は高校生の選手を指導しています。
先のドジャースの山本由伸投手にしてもワールドシリーズで中0日で登板した時も落ち着き払っていました。その静けさから武士道的な潔さを感じたのは、日本人だけでなく、アメリカのメジャー関係者も同様でした。
しかも山本投手はコンディション作りのために、独自のメニューを行っています。いわゆる筋力トレーニングは最低限しかしないそうです。トレーナーも野球のコーチではなく、柔道整復師の資格もある矢田修さんについてコンディショニングをしているそうです。
矢田さんは、体がしなやかで疲れにくくするためには、「正しく立てないものは正しく歩けない。正しく歩けないものは正しく走れない。正しく走れないものは正しく投げることができない」と姿勢にこだわっている。実に東洋思想的なトレーナーです。
一方、臨済宗の開祖である臨済は『臨済録』という本を読むと、瞬間的に厳しい問いかけ(公案)を弟子たちに投げかけます。
「お前ら、仏、仏って探しているけど、仏はお前の頭にあるんだ」
仏教には穏やかなイメージもあるのに、臨済禅の場合は師と弟子による丁々発止で悟りに辿り着こうとします。そのアプローチは異なれど、身体技法によってある境地に到達するというのは東洋思想特有の考え方と言えるでしょう。phaさんの場合は普段は身体性というのは意識していますか?







