今やるべきことは
自分の体が知っている

pha:僕は20代の頃、体がだるくてだるくてどうしようもないのを何とかしたいと思って、身体に関する本をたくさん読んだ時期があったんです。その時に齋藤先生の『身体感覚を取り戻す――腰・ハラ文化の再生』(NHKブックス)や『呼吸入門』(角川文庫)に出会って、とても面白くて影響を受けました。その頃は少しだけヨガに通ったり、合気道を習ったりしていたんですが、今は実践的なことは何もやってないですね……。

『あらゆる悩みは東洋思想で解決するかも』書影あらゆる悩みは東洋思想で解決するかも』(齋藤 孝、pha、徳間書店)

 ただ、それ以来体の「だるさ」を意識して生きる、ということに気をつけるようになりました。自分の意識が気づいてないことに体は気づいていて、さまざまな症状を出すことで教えてくれる、ということがありますね。だるくてどうしようもなかった時期は会社に勤めていた頃で、体がだるくてうまく働けないことに悩んでたんですが、会社を辞めて無職になったら毎日やる気がなくて寝ていても別に問題がないので、だるさに悩むことはなくなりました。

 結局会社員が向いてなかったんですね。なんかだるいな、という時は、それはやらなくていい、と体が教えてくれてるんだ、と思っています。「だるさ」は自分らしく生きるためのセンサーなんですよね。

齋藤:ただ働き盛りの世代の人は忙しいので、身体技法を集中して学ぶというのは時間的にも難しいと思います。そこで辿り着いたのが「脱力術」です。仕事をしながらも疲れをためないためには、まず脱力すればいいのではないかというのが、働き盛りの世代が身につけるべき身体技法だと思っています。

 力まない、無駄な筋肉をつけない、呼吸を乱さなければ、仕事のパフォーマンスは劇的にアップするはずです。東洋思想の智慧を体得できれば、生産性が飛躍的に上がります。これこそ、忙しい現代人が目指すべき境地でしょう。