齋藤:インドのブッダにしてもとにかく「色」を落とせと話しています。仏教はモテなくても怖くないっていう思想です。
pha:そういう執着こそが人を苦しめる、という感じですよね、ブッダは。
条件を重視する婚活市場では
理想の相手を探すのが難しい
齋藤:世阿弥の『風姿花伝』には、「時分の花をまことの花と知る心が、真実の花になほ遠ざかる心なり」(若さゆえの一時的な美しさを、真実の美徳と思い込む心こそが、本物の芸の極致から遠ざかる原因である)という記述があります。今の時代ほどのあからさまなルッキズムというのはありませんでした。
外から見た視覚的なものじゃなくて、もっと内側にあるものを大事にしようというのが東洋思想です。でも残念ながら、「この人の東洋思想的な考え方が好き」なんていう人は少ないかもしれないですね。
結婚相談所の条件でも外見だとか年収が優先順位の上位で、「悟り」にはほど遠い。見た目を度外視する婚活は少ない。だから今の時代を生きる人っていうのは、パートナーを選ぶ時に、その内面の成熟といったものをまず見てもらえないのが、晩婚化の一因ではないでしょうか。
pha:その辺はネットの弊害もありますね。マッチングアプリが一般化したことで出会いやすくなったけど、恋人候補が雨後のタケノコのように生えてくるので、年収やルックスなどの条件でフィルターをかけるしかない。便利な時代だからこそのジレンマですね。ネット以前がいいっていうわけでもないけど、理想の相手を探すのが難しい時代ですよね。
齋藤:確かに行動経済学の知見では、選択肢が多すぎると、かえって購買を控える傾向があるそうです。昔の村社会ですと男女5人ずついるとして、1組のカップルが誕生したら、残された男女4人もパズルがハマるように狭い範囲で相手を見つけていたのが、日本の村社会での出会いのパターンでした。つまり小さなコミュニティのほうが相手を見つけやすいというメリットがありました。
ところがマッチングアプリだと大海で相手を探すようになりますから、よりいい条件の立候補者ばかりが目につくようになる。少子高齢化が進む一因としても条件優先のパートナー探しに、ネットでの出会いが拍車をかけている部分は見逃せないでしょう。







