どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年#6Photo:JIJI

商社やコンサルティング会社と並び、華やかで高給イメージのある広告代理店業界。取材を進めると、業界“2強”の電通と博報堂では、現役世代の給与水準が高い分、シニア世代の急落ぶりが著しい実情が浮かび上がった。言い換えれば、長年会社に貢献した社員が“干される”ことになりかねないのだ。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#6では、広告業界に吹き荒れる「シニアへの強い風当たり」の実態を、実額入りの30代からの出世コースや生の声と共に明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実、今枝翔太郎)

絶好調の電通、博報堂
超高給でもシニアで「年収急落」

 商社やコンサルと並び、華やかで高給のイメージがある広告代理店業界。特に業界ツートップの電通、博報堂は、長らく就職人気企業の上位に君臨してきた。近年では、長時間労働問題や談合事件により「ブラック企業」の烙印を押された上、コロナの影響にも苦しんできたが、かつての勢いを取り戻しつつある。

 両社の親会社である電通グループと博報堂DYホールディングス(HD)の2022年度業績(電通グループは22年12月期、博報堂DYHDは23年3月期)を見てみよう。両社とも一過的な要因もあり当期利益が前年度から大きく落ち込んだものの、収益は20年度からV字回復を遂げた。22年度の連結収益は、電通グループでは20年度比32%増の1兆2438億円、博報堂DYHDでは20年度比39%増の9911億円にも達する。

 この好調ぶりは、両社の給与にも表れている。詳細は次ページで述べるが、電通グループのほうが高年収とはいえ、博報堂DYHDも他業界がうらやましがる“超高給”水準だ。

 ただし、あくまでこれはHDの平均値でしかない。個別のケースの取材を進めると、両社とも現役世代の給与水準が高い分、シニア世代の急落ぶりが著しい実情が明らかになった。長年会社に貢献した社員が“干される”ことになりかねないのだ。

 次ページでは、電通、博報堂の出世構造や、30代以降の急激な給与上昇カーブを明らかにする。その上で、シニア再雇用時の年収急落の実情を、関係者の生の声とともにお届けする。広告“2強”は給与水準が他業界に比べて高い分、そこで吹き荒れる「シニアへの強い風当たり」も並大抵ではないのだ。