住宅資材の高騰といえば、数年前のウッドショックが記憶に新しい。ただ、ウッドショックでは木材、つまり主に構造材に影響が集中し、骨組みを変えないリフォームへの影響は比較的軽微に済んでいる。今回のナフサ危機の場合、断熱材も配管も塗料も接着剤も、影響は住宅のほぼ全領域に及んでいる。木造に限らず鉄骨造やRC造も、新築もリフォームも、すべてが影響を免れない状況だ。

 こうした広範な影響が一気に表面化した背景には、日本のナフサ調達の約6割は輸入で、そのうちの7割を中東に依存する構造にある。国内在庫も2~3週間分にとどまっていたため、ホルムズ海峡の封鎖で供給が滞ると、化学メーカーの減産から建材メーカーの値上げへと連鎖が一気に進んだのである。

断熱材だけで50万円増!?
住宅1棟の総額はどう変わるのか

 では、具体的にどれほどの値上げが起きているだろうか。数字を見ると、その幅に驚かされる。断熱材は40%超、塗料に使うシンナーは70~80%に達するものもあり、かつてない水準に達している。配管や水栓金具、壁紙に至るまで軒並み値上げや供給の遅延が広がっており、住宅に使われる資材の大半が影響を受けている。私たちが日々接している工務店やリフォーム会社からも「見積もりを出し直さざるを得ない」との声が聞こえてきている。

 配管や塗料、接着剤、断熱材まで含めれば、建物全体の総額で5~10%、金額にして数十万~数百万円規模のコスト増も現実味を帯びてきている。

 しかも問題は価格だけにとどまらない。冒頭で触れた設備メーカーの受注停止は、接着剤やコーティング剤の原料が確保できず製品を完成させられなくなったことが原因だった。受注は段階的に再開されたものの、納期は物件ごとの個別対応となり、いつ届くかの見通しが立ちにくい状況が続いている。「お金を出せば買える」との前提自体が揺らぎ、計画の見直しを迫られるケースも出始めているのが実情なのだ。