混乱時こそ冷静な判断が重要
確認すべき3つのポイント
こうした状況を前にすると、「もっと上がる前に契約してしまおう」と焦ったり、逆に「いったん計画を白紙に戻そう」と考えたりする方も多いのではないだろうか。ただ、焦るのは禁物だ。大切なのは、次の3つを念頭に置きながら冷静に状況を把握することだ。
【確認(1) 総額でいくら上がるのかを把握する】
報道では「断熱材40%」「塗料80%」と部材単位の数字が飛び交っているが、建物全体の支払総額にこそ注目してほしい。そこで、まずは施工会社に「全体として総額がどう変わるのか」を確認するところが出発点となる。ただし今は、コスト上昇分をどこまで価格に転嫁するかは会社ごとに判断が分かれる過渡期とも言える。契約後に追加の値上げがあり得るかどうかも、あわせて押さえておきたい。
【確認(2) 契約条件と見積もりの前提を確認する】
すでに契約済みの方にとって切実なのが、「スライド条項(請負代金額変更の条項など)」と呼ばれる規定の有無である。資材価格が大幅に変動した場合に請負金額を増減できる条項で、上限額の設定も含めて確認しておこう。
問題はこの条項がない場合だ。というのも、コストが上がり続ける中で、施工会社だけが負担を背負い続けるのは無理がある。結果として、知らないうちに使用する製品のグレードが下げられていたり、工事後に想定外の追加費用を求められたりする可能性が出てくる。
加えて、見積もりの有効期限にも注意が必要だ。以前は3カ月程度が一般的だったが、価格が日単位で動く現在は1カ月や2カ月、あるいはさらに短く2週間程度になっているケースもある。仕様変更の条項(設計変更など)、つまりやむを得ない事情で施工者側が使用製品を変更できるかどうかも確認しておきたい。仕様変更における注意点は、変更後の仕様がダウングレードされたり、自分の好みではない仕様に変えられたりするケースがある点だ。施工後に知らないものが付いていたということがないよう、やはりここでも担当者とコミュニケーションを取り、どのメーカーのどの製品に変更するのか確認しておくことが大切だ。
いずれにせよ、今は施工会社との密なコミュニケーションが不可欠な局面でもある。住まい手の側から「やむを得ない事情が発生するような状況であると聞いている。変更が必要なら一緒に考えたい」と先に連絡を入れる姿勢が、トラブルの予防にもつながるだろう。
【確認(3) 見積もりは「明細」で取る】
これから見積もりを取る方には、「一式いくら」ではなく資材ごとの単価が記載された明細を出してもらうことを推奨する。断熱材の商品名や品番まで記載があるとなお良い。メーカーが公表している値上げ情報と突き合わせれば、追加の値上げを求められた際にその妥当性を確認できるためだ。
ところが一式計上の見積もりでは、後から検証する手立てがなくなってしまう。なお、明細を求めることに気が引ける方もいるかもしれないが、心配無用だ。「この会社は実情を正確に伝えてくれている」と確認できることは、住まい手にとっても施工会社にとっても、信頼関係の土台になるはずだ。







