世界でも研究例が少なく、実験の1つひとつが未知との遭遇でした。
バリ島から輸入したキンチャクガニを飼育していたのですが、試しに日本の海のイソギンチャクを入れてみたところ、驚くことにそのイソギンチャクをハサミで持ちました。バリ島に生息していないイソギンチャクの保持事例はとても少なく、これは世界で初めての観察結果になりました。
脱皮のときには1度、イソギンチャクを離して、終わったらまた拾うこともわかりました。どうやらイソギンチャクは単なる武器ではなく、体の一部のようなものなのかもしれない。そんな仮説を立てながら、共生や擬態の関係を調べました。
研究が評価され挑戦の場が広がり
薬学という新たな進路と出会う
この研究は株式会社リバネスの「マリンチャレンジプログラム」で評価され、東京海洋大学の方がメンターとしてついてくださいました。朝日新聞社主催の「JSEC」では優秀賞をいただき、シンガポールのサイエンスキャッスルでも英語発表で表彰されました。NHKの番組で紹介されたり、朝日新聞などに取材されたりもして、自分でも驚くような経験でした。
でも、すべてがうまくいったわけではありません。餌が合わなかったり、水槽が壊れたり、思うように結果が出ないことのほうが多かったです。けれど、その「うまくいかない理由を考える時間」が1番面白かった。何が正しいのかを確かめるよりも、何が違うのかを探るほうが、僕にとっては魅力的だったんだと思います。
そうした経験を通して、研究というものの面白さを強く感じました。薬学に興味を持つようになったのも、この延長線上にあります。
高校のときに科学ニュースを見て、治らない病気があることを知りました。手術で治せない病を、薬で治せる可能性がある。薬は再現性があり、世界中の人に同じ効果を届けられる。難病や希少疾患の研究は、患者数が少ないために民間が採算を取れず、手を出しづらい分野でもあります。だからこそ自分が挑みたいと思いました。







