それでも結果は不合格でした。共通テストの化学でマークミスをして60点しか取れず、そこが大きく響いたのだと思います。書類や面接の評価はよくても、最終的には不合格だった。あのときは本当に悔しかったです。

 そのあとの一般の東大受験でも、不合格となってしまいました。結果的にはどちらもダメだったわけですが、不思議と落ち込むよりも「もう1年かけてリベンジしたい」という気持ちが強く残りました。研究に時間をかけていた学生時代の中で、勉強に対して不完全燃焼感があり、その気持ちに突き動かされました。

既卒者でも受験ができる!
再び挑戦した東大推薦入試

 ということで、「もう浪人して一般で受け直そう」と決めました。推薦は現役生しか受けられないと思っていたので、完全に一般受験1本でやるつもりでした。

 でも、せっかく積み上げた実績や研究をそのままにするのはもったいないと感じ、ある日ふと、「浪人でも推薦を受けられるんだろうか」と思い立って東京大学に直接メールを送りました。「既卒でも推薦入試に出願できますか」と、そう尋ねたら、数日後に「受けられますよ」という返信が送られてきました。「え!?そうなの!?」と思ってびっくりしたんですが、その数日後には、東大の公式サイトにも既卒者向けの案内が追加されていました。

 それを見て、「じゃあもう1度、推薦で挑戦しよう」と決めました。前年の志望理由書や研究記録は全部残してありましたし、気持ち的にもまだ終わっていなかったので、「去年の延長線でいけばいい」と考え、そのまま再出願しました。

『東大推薦 合格の秘訣 Vol.01 2026』書影東大推薦 合格の秘訣 Vol.01 2026』(東大カルペ・ディエム編、笠間書院)

 2度目の挑戦の日、面接会場は本郷キャンパスでした。教授が5人並び、最初は緊張していました。でも、志望理由を話し始めてすぐに「キンチャクガニ」の話題になり、空気が一気に和らぎました。

 教授たちが興味を持ってくださって、研究の詳細を質問されました。GFPという発色するタンパク質を使っていたのですが、「なぜそれを選んだのか」と聞かれたときは、正直に「深く考えていませんでした」と答えました。知らないことを知ったかぶりするのは違うと思っていたので、素直に答えました。その後は私を含めた教授の方々との議論が始まり、研究者同士の会話のようになっていきました。話が盛り上がって、あっという間に時間が過ぎた感覚でした。

 面接の終わりに、強面の教授が「あなたはすべての質問にスラスラと答えていた。研究に真摯に向き合ってきたことが伝わりました」と言ってくださったとき、心の中で少しほっとしました。やり切った、素の自分を出し切った実感がありました。結果は、共通テストでのミスもなく、合格。1年越しの合格です。