医学部志望が激減!2026年の大学入学共通テストを大分析、「文高理低」「国立↓私大↑」で変わる大学入試Photo:PIXTA

新教科「情報I」や「物理」の難化に2浪生激増が話題を呼んだ2026年「大学入学共通テスト」から約1カ月。国公立大学の第2次試験を間近に控える26年の大学入試はどう変わったのか?来年以降の大学入試はどう変わるのか?連載『教育・受験 最前線』では、その答えを探るべく河合塾の近藤治・教育研究開発本部主席研究員へインタビュー。その「前編」をお送りする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

旧帝大の志望者が減少
難関・有名私大は大幅アップ

――2026年の大学入試の全体的な受験動向の分析からお願いします。

 国公立大学は志願者数が確定した2月18日、私立大学は2月13日現在の集計によると、私立大学、特に難関・有名私立大への志向が強まっているということがいえると思います。

 一方で国公立大学、特に難関国立大学を個別に見ると、東京大学や京都大学が前年比で微減、(24年度に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生した)東京科学大学は13ポイント減となっており、弱気な出願とまではいえないものの全体的に減っています。

 また、全ての大学で志願者数がまだ確定していないのですが、大学入学共通テスト利用方式と一般入試方式を合わせた私立大の志願者数の増加率について、河合塾が定義する大学グループ別に言うと、「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)と、「成成明國武」(成蹊大学、成城大学、明治学院大学、國學院大学、武蔵大学)が、現段階で前年比10ポイント増。そして「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)が4ポイント増、さらに「早慶上理」(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学)に至っては5ポイント増となっています。

医学部志望が激減!2026年の大学入学共通テストを大分析、「文高理低」「国立↓私大↑」で変わる大学入試こんどう・おさむ/河合塾教育研究開発本部主席研究員。1985年河合塾入職後、大学入試動向分析を担当し受験生への情報発信を行う。2018年より中部本部長として塾生指導に携わった後、22年より現職。各メディアへの情報発信や生徒、保護者、高校教員対象の講演も多数実施。

 個別に志願者数が確定しているところだけ抜き出すと、慶應は5ポイント増、上智が10ポイント増、立教が12ポイント増、成蹊が38ポイント増などです。

 関西も同様で、「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)が13ポイント増、「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)が5ポイント増加しています。

 さらに地方の各エリアの難関私大、例えば北海道エリアでは北星学園大学や北海学園大学が現段階で30ポイント増。東海エリアの南山大学、愛知大学、中京大学、名城大学が25ポイント増となっています。

――26年共通テストの総志願者数で見ると、25年比で0.2ポイント増になりましたが、国公立大が微減で、難関・有名私大が躍進したということは、「私立大シフト」が起きたのでしょうか。

 いえ。「私立大シフト」とまではいえないと考えています。私立大の志願者がこれだけ増えている主な理由は、国公立大と私立大の併願者の増加によるものではないかと推測しています。

 確かに模擬試験の段階では、私立大の共通テスト利用方式の増加率は非常に高かったのですが、一方で国公立大の志願者が減っているかというと、昨年度並みです。私立大の入試本番を迎え、共通テスト利用方式だけでなく、一般方式の方も増え始めたわけです。

 その背景は、26年の共通テストが非常に難化して平均点が下がったことにあります。当初は私立大の受験は共通テスト利用方式だけを使って併願しようと思っていた国公立大志望の受験生が、「共通テスト利用方式だけではなく、一般方式も受けた方がいいんじゃないか」と焦り始めたのではないかと。

 加えて、コロナ禍の終息以降、首都圏の大学への回帰、特に私立大への回帰現象が非常に強く現れています。昨年、今年と首都圏の難関私大が非常に好調な理由の一つに、全国から再び受験生が集まってきているところはあるでしょう。

 とはいえ、18歳人口は昨年から来年にかけての3年間、階段の踊り場状態にあり、私立大の志願者数はそれを大きく上回る伸び率を示していることは確かです。その多くは前述のように国公立大からの併願者だと思うのですが、そうはいっても、学費なども考えれば、私立大を目指す受験生がこれだけ増える理由は簡単には説明できず、さまざまな要因が複合的に重なっているものと思われます。

――現役志向が加速し、とにかく浪人はしたくないという危機感のような動機もあるのでしょうか。

 現役進学率の推移だけ見れば、現役志向が強まっているように見えますが、今も昔も皆、浪人はしたくない(笑)。かつて18歳人口が爆発的に多かった時代は、結果として浪人してしまう受験生の割合が非常に高かった。現在は大学全入時代なので、結果として浪人する方は昔に比べれば少なくなってきているだけです。

 ただし、受験生の間で上昇志向がかつてよりも弱まっている側面はあると思います。26年入試で難関の国立大、例えば旧帝国大学(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)で言うと、エリア内に他に代替できるような有力校がない北大を除けば軒並み志願者を減らしています。東大は2年連続の減少で、昨年まで7年連続で志願者を増やしていた京大も志願者を減らしています。以前に比べれば、「何が何でも東大、京大」というような志向は薄れているのかもしれません。

――旧帝大が苦戦する一方、難関国立である一橋大学の志願者が伸びています。

 26年入試における受験生のもう一つ志向として、法学部や経済学部をはじめとした社会科学系が非常に人気です。一橋の学部構成はほぼ社会科学系ですから、その影響もあると思います。学部構成が今年度の生徒たちの志向に非常にマッチしている。

 この社会科学系人気を含め、現在、国の思惑とは裏腹に、「文系回帰」が強まっているんですよね。コロナ禍以前から理系人気が高まり、コロナ禍の頃は医療系が非常に人気を博していたのですが、昨年、今年と医学部医学科を含めた医療系の志願者数が、ものすごく減っています。

次ページでは、最強学部のはずの医学部医学科に吹いた逆風を分析。さらに一気に難化した新教科「情報I」など26年の共通テストの中身を見る。