「それ、やる意味あります?」と
部下が口答えする理由

 上司としては、指摘を踏まえてレベルアップしてほしいとか、悔しさをバネに乗り越えてほしい期待がありますが、期待に応えてくれるかどうかは上司との関係性次第です。共感や信頼がなければ部下は「この職場でなくてもよい」「この上司でなくてもよい」と離職に向かうでしょう。

 たとえ8割は上司が仕上げたとしても、2割は「あなたのおかげでできた」「ここは気づかなかった」と部下の影響力をはっきり伝える。それだけでも主体性を奪うことは防げます。

「それ、やる意味あります?」

 そんなことを部下に言われると、「何もわかっていないな」と冷めてしまいがちです。

 まさにその通りで、部下は何もわかっていないのです。上司からすれば様々な理由があって「やる」と決めたことでも、部下からは意思決定のプロセスが何も見えていません。上司とは目線の高さも視野の広さも違って当然ですから、「意味があるのかわからない」のも当たり前です。

 古いタイプの上司は、こういうときに「今は説明したってわからない。いずれわかるようになる」と決めつけて「まずは与えられた仕事をやろう」と、強引に動かそうとしてしまいます。

 いわゆる「石の上にも3年」というやつです。かつてはそれでよかったのですが、今は「いずれわかる」まで待ってはくれず、納得いかなければ離職意識が高まってしまいます。

 また、「会社の事情」をくどくど説明したとしても、理屈はわかるかもしれませんが心は動きません。いざとなったら転職すればいい立場の部下からすると、結局は他人事なのです。

 任せてもらいたいけど、放置はされたくない。教えてほしいけど、自分の働きも認めてもらいたい。

 上司からするとちょっと厄介に感じるかもしれませんが、関与の距離感を間違えると、やはり部下は仕事を他人事に感じてしまいます。

 たとえば芸術家のように、完全に一人で仕事と向き合い、欲求も評価も自己完結できる精神性を備えた人は多くありません。ワーク・エンゲージメントが高い人であっても、そのワークで人や社会にどんな影響を与えているかを実感することが、エンゲージメントに結びついています。