統計によると、日本国内だけで400万を超える会社があるらしいから、社長もその数だけいるということ。

 役員なんてさらにいる。ゆうに1000万人を超えるでしょう。

 こんなに世にあふれるポジションに就くことは、なんの自慢にもならない。

 それにしょっちゅう交代だ退任だって入れ替わるんだから、

「えっと、中野さんは今、専務だっけ?常務だっけ?」

 なんて気を遣わせるのも悪いでしょう。

 シンプルに「さん付け」で呼び合うのが一番いいんです。

3歳児レベルの好奇心で
仕事に夢中になっていた

 婦人服事業、海外出店、百貨店、倉庫経営……。

 振り返ってみると、僕はいつも未経験の分野にばかり縁が結ばれてきました。

 しかしながら、「やったことないから不安だ」と思ったことは一度もありません。

 それは若い頃から、先輩や経営層がやることに対して、どこか批判的な目というか、「僕だったらこうやるのにな」と考えるクセがあったからかもしれないですね。

 仕事以外の時間でも同じ。

 例えば、同窓会で友達と行くお店で、会話を楽しみながら、「このお店、こういうふうにしたら、もっと繁盛するはずだけどな」とあれこれ考える。

 20代の頃に勤めたマミーナでも、僕は相当生意気だったと思います。

 先輩に対しても「それは違いますよ。やり方がおかしいです。僕はこう思います」

 とハッキリ言ってしまう。

「お前なぁ。いいから言われたとおりにやれよ」と叱られても、全然聞かない。

『ぜんぶ、すてれば』書影ぜんぶ、すてれば』(中野善壽、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 自分流でやってしまって事後報告をしては、怒られていました。

 マミーナのOB会に出たら、同僚だった女性たちからさんざん笑われますよ。

「中野君は3歳児と同じだった。仕事なのに好きなことばかりに夢中になってた」

 と言われます。

「それって長所かなぁ」ととぼけたら、

「もちろん短所に決まってるでしょう」とまた叱られました。