25歳の兄ズーイはテレビドラマの主演俳優として活躍し、20歳のフラニーは名門大学で英文学を学んでいます。
知性も容姿も環境も、2人はかなり恵まれているけれど、それゆえ2人は気取った人々に囲まれてイライラし、そんな自分にもイラついているのです。
元・天才キッズのフラニーが
生意気な男子大学生に激怒
フラニーは、冒頭の男子学生集団のひとり、レーンと試合観戦の前にデートをしました。レーンはカルチャー系最先端のレストランで美人とデートできるイケてる自分に満足していますが、レーンがA評価をとった論文について自慢し始めたあたりから、デートの雲行きが怪しくなります。
フラニーが大人しく聞いているのをいいことに、イキリがエスカレートしていくレーン。我慢しきれなくなったフラニーは、従順な女の子の演技をやめ、あなたの話し方はツルゲーネフを半時間こき下ろす大学院生の臨時講師のようだと口にしてしまいました。
さらに彼女の矛先は、英文学を学ぶほかの学生たちに向けられます。「知ったかぶりの連中や、うぬぼれの強いちっぽけなこき下ろし屋に私はうんざりしていて、ほんとに悲鳴を上げる寸前なの」「私が言いたいのは、何もかもがどうしようもなくくだらないってこと」
勢いあまったフラニーは、すきあらば人脈自慢と女の子のえげつないうわさ話をして、イタリアで夏を過ごしたがる男子学生たちの凡庸さを列挙しはじめました。
ニューヨークで雑誌社や広告代理店の仕事をするような女子大生もやり玉にあがります。ベタさから逃れてボヘミアンを目指そうが、その逸脱すら画一的になってしまう。誰もが個性的になろうとして、ベタに陥っているという嘆きです。
フラニーの嫌悪は、自分自身の承認欲求にも及びます。フラニーは力を入れていた演劇活動も、舞台裏に会いに来た友だちとこれみよがしにキスするような周囲や自分のベタさにうんざりして、やめてしまっていたのでした。
《「私はただ、溢れまくっているエゴにうんざりしているだけ。私自身のエゴに、みんなのエゴに。どこかに到達したい、何か立派なことを成し遂げたい、興味深い人間になりたい、そんなことを考えている人々に、私は辟易しているの。(…)」》







