まずは市場環境から。アメリカの寿司市場は有望です。よく話題になるのが英語の話せる寿司職人がアメリカで成功しているというニュース。寿司職人はビザがとりやすく、現地で雇われて成功するとあっという間に年収4000万~5000万円などという話もざらにあります。

 この30年でアメリカ人の食の嗜好も完全に変わりました。以前は「生の魚なんて食べたくない」という人がそこそこ存在していたのですが、今ではスシはおいしい健康食のカテゴリーでアメリカ人の日常にも定着しています。

 ただ市場全体としてみれば、寿司レストランに出かけるのは高所得者層が中心で、消費の多くはスーパーやショッピングモールでのテイクアウト寿司が占めています。

 日本企業としてこのトレンドにいち早くのってアメリカ市場で成功したと捉えられているのは、実はライバルのはま寿司を運営するゼンショーです。2018年にアメリカを中心に4000店舗超のテイクアウト寿司チェーンを展開するAFCを買収し、2023年には同じく約3000店舗を展開するスノーフォックスを傘下に収めました。

 実はこのゼンショーのアメリカ展開について調べていたところ、競合情報としてくら寿司がアメリカに進出して、日本と同じような回転寿司レストランとして店舗数を増やしていることを知ったのです。

 日本のような回転寿司業態は、アメリカでは競争相手がほとんどいないブルーオーシャンです。テイクアウトで寿司を楽しんでいるアメリカの消費者なら、より新鮮でおいしい回転寿司店へ出かけるようにライフスタイルがやがて変わるのではないか?そのような考えから少しだけくら寿司USAの株を買ってみることにしました。

海外投資家の辛辣評価
「売り上げは増加しているが…」

 ただその後、情報を集めてみるとアメリカでの回転寿司はアジア市場ほどの熱狂は生んでいないことが伝わってきました。業績としても四半期赤字になることも多く、少し利益が出たところで保有していた株を売って利確することにしたのです。そのときの判断材料のひとつが、アメリカの投資アナリストの評価が冷めていたことでした。

 これはくら寿司に限ったことではないと思うのですが、海外進出する日本企業については日本のメディアが比較的好意的に報道する傾向があります。一方で、現地のアナリストはより冷静にとらえているようです。その情報の温度感について比較してみましょう。