翌24年12月のソフトバンクによる内部監査の現金実査時には、帳簿上約6500万円あるはずの現金が実際には500万円しかありませんでしたが、元CFOはエクセルで偽装した現金実査表を作って提出し、その場を切り抜けたといいます。
不正発覚後、元CFO自身はこの時の監査について、こう供述しています。
「『じゃあ次通帳を見せてください』とか『会計帳簿を見せてください』と言われたらアウトだなと、その時にすごい冷や汗をかいたのは今でも覚えている」
その場しのぎの偽装工作でたまたまバレなかっただけ、といえるかもしれません。
そして24年12月、不正は新たな段階に入ります。
送金指示と承認を一人で完結できる権限を持っていた元CFOは、会社口座から自分名義の口座へと12月17日に5000万円、20日に3000万円を立て続けに振り込みました。
12月27日に行われるトーマツの現金実査時に、会計帳簿上の現金残高(約6500万円)と同額の現金が保管されている状況を作り出そうとしたのです。また、すでに不正に支出している会社のお金を返すために、「FX取引の原資が必要である」と考えたことから、結果として必要な現金残高を超える額を引き出したといいます。
写真はイメージです Photo:PIXTA
不正発覚を避けるため、元CFOは代表印を冒用して金銭消費貸借契約書を偽造するとともに、送金額を「未収入金」として処理するよう部下に指示しました。その際、「大変申し訳ないですが、プライバシーなので、二人限りでよろしくお願いします」と一文を添え、口止めを行っていたことも明らかになっています。
また、決算期末を超えて不正を維持するため、元CFOは残高証明書をPDFで切り貼りして改ざんし、トーマツに提出しました。改ざん前と後の残高差は、3月末で1億9000万円、6月末で2億9000万円、9月末で3億2000万円と、どんどん膨らんでいきました。







