「何かがおかしいと思っているのに、踏み出せず」
中堅幹部たちの葛藤
こうして元CFOによって改ざんされたデータに基づき、決算作業が行われていくことになりました。
何かがおかしい。でも、問いただすことはできない……。実務を担当していた社員たちの心は揺れていました。
管理統括部長として、会計帳簿を確認する立場にあった社員は、
「自分も改ざんみたいなことをしているという認識はあった。自分もそれに加担してしまっているというモヤモヤした思いがあった。(略)このことがばれたときには自分にも責任追及があるだろうとは思っていた。しかし、自分がどうすればいいのか分からなかった」
と述べています。
また、管理統括部長は、財務担当マネジャー宛に次のようなチャットを送っていました。
「決算も改ざんしている事もあり、非常に心苦しいです」
「社長は本当にご存知なのでしょうか…」
「何かがおかしいと思っているのに、踏み出せず…」
管理統括部長は、元CFOから「そんなに君たちは優秀じゃないよ」といった人格否定的な言葉を浴び、「冷たい態度をとられたり、『辞めてもいい』などと言われたりするかもしれないと怖れてしまい」、直接の指摘ができずにいたといいます。
「自分が何を言っても変わらないのではないか」
諦めていた社員の“最後の一手”
「変に追い詰めると何かまた別な変なことをしでかすのではないかとそれも心配で、、、いま一歩踏み出せないでいます」
財務担当マネジャーもまた、チャットで上記のメッセージを送っており、疑念を抱きながらも困惑していました。
第三者委員会のヒアリングによれば、元CFOの行動に違和感を抱きつつも、「自分が何を言っても変わらないのではないか」という諦念があったといいます。
しかし、26年1月、ついに財務担当マネジャーは行動に出ました。
「12/30が4.6億円の返済日かと存じますが、現時点で私のほうで確認が取れておりません。詳細の共有をお願い致します」――元CFO本人を宛先に、社長をBCCに加えてメールを送ったのです。
これが、ようやく事実を表に引き出すことにつながりました。







