借金大国でも財政が悪くない1つ目の理由は、「国民がお金の貸し手」であることです。

 国は資金を調達するために国債を発行し、資産運用したい人がその国債を購入します。購入者は、銀行、保険会社、日本年金機構などです。運用する資産は、銀行なら預金、保険会社や日本年金機構なら保険料なのですが、元をたどれば、家計や企業からのお金になります。

 図2-18のとおり、国は、家計や企業からお金を借りて、社会保障や公共事業などのモノに変えて、国民に返しているのです。つまり、日本では「国内」でお金がスムーズに流れ、かつ、うまく循環している状態が続いています。

図2-18 国内でのお金の流れ同書より転載 拡大画像表示

債権者が海外投資家だったギリシャは
国債を一気に売られる事態に

 日本のようなお金の循環は、意外に珍しいのです。海外では、借金を他国に頼ることが多く、自国内でお金の循環が完結できない例が多々あります。

 さきほどお話ししたギリシャショック(2009年)に至るまでのギリシャが、その最たる例です。ギリシャの財政赤字の推移は、図2-19のとおりです。

図2-19 ギリシャの財政赤字(対GDP比)同書より転載 拡大画像表示

 1990年代のギリシャは、ユーロ加盟(2001年)に向けて、財政赤字を削減していました。ところが、2004年のアテネオリンピック開催が決まると、競技施設などの建設、新国際空港の開港(2001年)、鉄道や地下鉄、道路などのインフラ整備を次々と行ったことで、財政赤字が拡大しました。当時の政府は、この財政赤字を隠蔽していたのです。