騒乱!ゼネコン不動産Photo by Takayuki Miyai

ゼネコン業界が変革期を迎える中、積極的なM&Aとコンセッション事業で存在感が高まっているのがインフロニアホールディングスだ。昨年の三井住友建設に続き、2026年7月には水処理大手、水ingの完全子会社化を果たした。連載『騒乱!ゼネコン不動産』の本稿では、業界のキーパーソンである岐部一誠社長に、上下水道だけではない、次なる成長に向けた一手と、同社が強化を進めるアリーナ運営の勝ち筋について語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

上下水道はHD設立時から狙っていた
岐部社長が描く次なる買収先とは?

――7月1日に水処理大手の水ingを完全子会社化しました。記者会見では上下水道のコンセッションに参入する意向を示しましたが、買収の経緯とインフロニア・ホールディングス(HD)の傘下にある企業とのシナジーをどう進めていくか教えてください。

 元々25年ぐらい前、当時の前田建設工業(現インフロニアHD)が変化するマーケットでどう生き残っていくかが、経営企画の大きなテーマでした。私たちが目を付けたのは、欧州市場です。

 当時は欧州連合(EU)が発足したばかりで、コストの安い国の建設業者が人件費の安い作業員を連れて先進国で働くようになりました。先進国の企業がコストで勝てなくなったので彼らは生き残りの道として、コンセッション(公共施設の所有権を自治体に残したまま民間企業が運営権を購入して事業を行う方式)に参入することを選びました。

 こうした欧州の状況を見て、日本でも同じような状況が起きると予感していました。日本では2011年にPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が改正され、国や地方自治体が所有する施設の運営を民間に任せるコンセッション方式が本格的に始まりました。

 上下水道の会社は、実は21年にインフロニアHDを設立した時から最初に欲しかったジャンルです。たまたま水ingを買収することになりましたが、当初から有力な買収対象でした。

――インフロニアHDはM&A巧者としてゼネコン業界の中で存在感が高まっています。今回の買収は岐部一誠社長が思い描くプランの何合目ぐらいなのですか。

昨年は三井住友建設(26年10月からアルソシア建設に社名変更)を約900億円で買収するなど、積極的なM&Aで事業を拡大しているインフロニアHD。業界のキーパーソンである岐部一誠社長はどういった市場に“勝ち筋”を見いだしているのか。次ページでは、同社の買収戦略や港湾事業への展開、そして強化を進めるアリーナコンセッションの展望に迫る。