イーロン・マスクに勝利したのも契機?
日経平均株価も押し上げるIPOの時期とは

 SBGの事業戦略に関して、主要投資家の間では、「孫氏がアルトマン氏に傾倒し過ぎている」との懸念もある。一部報道によると、SBG内部にも、「オープンAIの競争力が低下した場合のリスクを懸念する」といった見方もあるようだ。

 孫氏は、特定企業に懸けるリスクを十分に理解しているのだろうか? SBGがこれまでに投じた約10兆円(予定分含む)の出資を成功させるには、可能な限り高値でのIPOを実現することが重要だ。孫氏が、アルトマン氏にIPOの早期実現を求めた可能性は高いと考えられる。

 市場参加者の間では、オープンAIのIPOは世界の株式市場の一大イベントになると注目を集めるだろう。投資家予想では、IPOは早くて27年以降との見立てが多かった。が、株式市場が堅調なうちに前倒しする可能性はある。

 オープンAIは元々、非営利団体として発足したので株式を発行できなかった。オープンAIの収益が、マイクロソフトに流れる契約になっており、他の株主の利益が見込みにくいことも課題だった。SBGはオープンAIとともに、それらの課題を解消してきた。

 そうした点を踏まえても、孫氏がアルトマン氏に早期IPOを求めている可能性は高い。未上場株を保有する投資家にとって、利益を極大化するために、可能な限り高値で株式を公開することが大切だ。

 足元、世界的に株価は高い。一方で、上昇ペースがあまりに急なので、「AI関連銘柄は割高だ」といった指摘も出始めている。SBGが、こうした指摘を懸念しているであろうことは想像に難くない。

 オープンAIとしても、早期のIPOを重視する動機はありそうだ。そのひとつが、電気自動車のテスラやSNSのXなどを率いるイーロン・マスク氏との訴訟だ。5月中旬、オープンAIはマスク氏に勝利した。この時期を逃さずにIPOを実現したいとの思惑はあるかもしれない。

 米国でオープンAIのIPOが報じられた後、SBGの株価は急伸した。日経平均株価をも押し上げた。いずれも投資家の想定以上のスピードで、オープンAIがIPO準備を進めていることが確認できる変化だった。