
ソフトバンクグループの株主総会で、孫正義会長兼社長は数々の名言(ときに迷言!?)を残してきました。今年はAIについて熱く語ることでしょう。米国でAI関連の巨額投資を予定し、トランプ大統領とは大変親しい関係を構築しています。世界中のVIPと人脈を築く孫さんは、「究極の人たらし」であり「世渡り上手」です。そんな孫さんがこっそり明かした、「絶対に成功する交渉術」の原点とは?(トライズ代表 三木雄信)
ソフトバンクグループの株主総会は
孫正義ワールドがさく裂する独演会!?
6月27日にソフトバンクグループが株主総会を開きます。近年は会見に出てくることが減った孫正義会長兼社長も、年に1度の株主総会には必ず出席。株主からの質問に、いろいろな見解を披露してきました。
近年で最も衝撃的だったのが、2023年の株主総会でしょう。グループ傘下のビジョン・ファンドの運用損失で2年連続の巨額赤字を出したことに、経営責任を追及する質問が相次ぎました。対して、孫会長は株主を前に、こう言ってのけたのです。
「厳しい質問ですね。2兆、3兆上がったり下がったりは誤差のうち」
「株主の皆さんを前にそういう不謹慎なことを言ってはいけないが、本音でございますので、正直に申し上げました」
その前の20年には、「お前は孫のくせに『不遜』だとお叱りを受ける。でも自分の能力にはけっこう自信がある。ワンマンと言われるが、自信は大事だと思う」などと述べています。こうした強気な発言の数々から、「ソフトバンクグループの株主総会は孫正義ワールドがさく裂する独演会」とも称されているようです。
今年の株主総会では、きっとAI(人工知能)について熱く語るはずです。何しろ4月末、米国ホワイトハウスで会合に招かれた際、ソフトバンクグループやオープンAI、オラクルなどが共同で行うAIへの巨額投資について改めて披露しました。その規模は5000億ドル、日本円で72兆円弱という国家予算並みのプロジェクトです。
トランプ米大統領はその場で孫会長の肩を抱き寄せながら、「マサ、ありがとう。あなたは長年の友人だ」などと発言したと報じられています。
このニュースを見て思い出したのが、私がかつて孫さんの秘書を務めていたころ、何度も聞かされた「鯉取りまーしゃん」の話です。トランプ大統領をはじめ世界中のVIPと人脈を築く孫さんは、「究極の人たらし」であり「世渡り上手」であることは疑いの余地がないでしょう。
あるとき孫さんに、「三木、どうしたら交渉で絶対成功できると思う?」と聞かれました。私が要領を得ない答えをしたら、孫さんは意外なことを言い出したのです。
「三木、交渉で絶対成功するコツはな、“鯉取りまーしゃん”にあるんだ!」