その知識アピールは評価される?

 伊藤さんの話で気になったのが、知識やスキルの不要なアピールをしたと思われることだ。伊藤さんは入社後に貢献できることを聞かれ、応募先の業務の具体的な改善点を複数挙げて、社内の改善・改革と、若手への教育の熱意を伝えたという。

 確証はないが、これがマイナスとなった可能性がある。今回、伊藤さんが応募した会社とその仕事は、若手への教育の役割ではなく、また、改革を期待されたものでもないからだ。

 もちろん、若手への教育や改革を期待されている中で、その熱意や具体的な提案を伝えたのならば、むしろプラスになる。しかし、求められてもいないのに、複数の改善案や自身の知識を教える提案をしてしまった。これだと、上から目線で自身の知識を押し付ける「エラそう」な中高年だと判断された可能性がある。

 具体的な指摘や積極的な提案を喜ぶ企業も中にはあるので、絶対的な間違いとは言い切れない。が、少なくとも中高年が「教えてあげる」「自分が正しい」というスタンスを強く前面に出すことはリスクが大きい。

過剰にアピールしたくなる気持ちを堪えよう

 中高年の場合、自身では謙虚なつもりでも、これまで活躍してきた会社での「ベテラン社員」の雰囲気のまま面接に臨んでしまうと、応募者や新入社員という立場としては「エラそう」に見えてしまうことがある。

 また、能力や経験のアピールが過剰になると「マウンティング」と捉えられてしまうこともある。

 これまで培った経験や価値観は、自身の価値そのもののような感覚だろう。年齢的に再就職が難しくなる中で、なおさら、面接ではアピールしたいと思うかもしれない。積極的にならないと、年齢の若い人に負けてしまうと焦るかもしれない。

 しかし、求められていないことを強くアピールしても逆効果となるだけだ。

 謙虚であっても、消極的になる必要はない。とはいえ面接で評価されるのは、あくまで採用側が求める能力が、提供可能かどうかの点だ。何が求められているのかをしっかりと研究し、適切なアピールを心がけたい。

中島康恵さんのプロフィール