この自律神経に意図的に働きかける、唯一の方法が「呼吸」です。ゆっくりとした深い呼吸を繰り返す瞑想を行うことは、正常な自律神経のバランスをとり戻すことにつながります。

【精神疾患の改善】

 反復性のうつ病に対して予防に用いられた場合においては、瞑想には薬剤以上の効果があります。また、突然気力体力を失ってしまう「燃え尽き症候群」にも、マインドフルネスの瞑想が有効であることが数々の研究で確認されています。

瞑想は心と体を守ってくれる
副作用のない「特効薬」

【認知症の予防】

 今、もっともなりたくない病気と答える人が多い「認知症」。その予防にも、マインドフルネスが役立つ可能性があることが分かっています。

 その1つが、カナダのアルツハイマー病予防研究センターとマギル大学の研究チームが行った、アルツハイマー型認知症のリスクがある261人の高齢者を対象とした研究です。この研究では、「マインドフルネスレベル」の高い高齢者はアルツハイマー型認知症になりにくくなることが確認されました。

 マインドフルネスレベルとは、「起こった出来事に対してよし悪しの判断をしない」「今の状態に注意を向けることができる」「自分や他者の今の状態に気付くことができる」といった特性を心理学的に測定したもの。

『最高の脳リカバリー法 からっぽ瞑想』書影最高の脳リカバリー法 からっぽ瞑想』(久賀谷 亮、エクスナレッジ)

 マインドフルネスレベルを計るアンケートや認知機能テストを行い、認知症の原因となる物質の脳内の状態を測定したところ、先のような結果が得られたのです。

 この場合は本人の「特性」ですから、マインドフルネスのトレーニングをした結果とはいえません。しかし、マインドフルネスに基づく瞑想を長期に続けることで、認知症にかかりにくくなる特性を養うことは、十分に可能です。

 実際に、他の研究では老化に伴う脳の萎縮を抑えたり、海馬など記憶を司る領域の密度が増加することも観察されているため、脳のアンチエイジングをサポートする効果に期待が持てます。

 まさに、瞑想は生涯にわたって心と体を守ってくれる、副作用のない「特効薬」であることが分かっていただけたでしょうか。