日本、米国、中国の紙幣写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の3位転落は「朗報」か

 財務省が5月26日に、2025年末の対外資産・負債残高を発表した。政府と企業、そして個人が海外で保有する資産から、外国企業などが日本に持つ資産を差し引いた「対外純資産」の金額は、前年末比4.4%増の561兆7504億円であった。7年連続で過去最大を更新したものの、中国に抜かれて3位に転落した。

 2024年末時点で中国の対外純資産は516兆円超であり、すでにドイツに抜かれて2位に落ちていた日本(533兆円)に肉薄していた。そして2025年、中国はドイツに次ぐ世界2位に浮上し、ついに日本を追い抜いたのである。

 対外純資産とは、海外に持つ資産から海外への負債を差し引いた残高のことだ。平たく言うと、日本人が持っている海外資産と、外国人が持っている日本国内資産を差し引いたものである。

 日本が多くの海外資産を持っていることは広く知られており、実際、貿易外収支の1つである第一次所得収支が国内経済においてかなり大きな地位を占める。その対外資産ですら、「日本が中国に抜かれた」と聞けば、中国の圧倒的な台頭、あるいは日本の停滞や地盤沈下を連想しても仕方がないだろう。

 だが、実際はこの数字は日本にとってはむしろ「朗報」であり、中国にとっては「悲報」であるかもしれないのだ。というのは、本当に見るべきは表面的な順位ではないからだ。

 重要なのは、これほど巨額の対外純資産を持ちながら、中国はなぜ「所得収支」がこれほどまでに弱いのかにある。

 日本はすでに「モノを売って稼ぐ国」から「海外資産から所得を得る国」へと移行しつつある。2024年の日本の第一次所得収支の黒字は、ドル換算で約2673億ドルと、世界最大級の水準にある。それに対して中国は、2024年に7680億ドルもの巨額の貿易黒字を上げながら、第一次所得収支は130億ドルの赤字である。輸出で稼いだ外貨が、利子・配当・投資収益という形で国民に還ってきていない。

 ここに、中国経済の構造的な問題がある。