コンビニ搾取の連鎖#12インタビューに応じた本多利範・本多コンサルティング社長 Photo by Satoru Okada

セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートで商品開発を担当し、エーエム・ピーエム・ジャパンでは社長と、コンビニ大手の要職を渡り歩いたコンビニのスペシャリストがいる。特集『コンビニ搾取の連鎖』(全12回)の最終回では、セブンで最年少の取締役に就任し、カリスマ鈴木敏文氏の“右腕”と呼ばれた本多利範氏が語る、コンビニ業界が袋小路から抜け出す処方箋を紹介する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大矢博之、岡田 悟)

コンビニの役割は便利店から生活支援店に
機能の“足し算”で高コスト体質になった

――コンビニ業界の加盟店問題が注目を集めています。

 こうした状況になると、私は7~8年前から言っていたんですよ。ただ、24時間営業や廃棄ロスの問題は、たまたま表面化して目立っている“吹き出物”のような存在。本質的な問題は、コンビニの役割が変わってきたということです。

 海外ではコンビニを「便利店」と訳しますよね。ですが、コンビニの役割は10年ほど前から変わりました。便利店から、朝昼晩の生活をサポートする生活支援店に変わったのです。

 コンビニが便利店だった時代は、人口が増加して経済も成長し、夜まで残業する人も多かった。24時間営業は便利だったから導入されたのです。ですがコンビニが5万店を超え、日本中の生活になくてはならない業態になった。便利店から、コンビニの定義が変わっているのです。現代におけるコンビニとは何ぞやと再定義すべきでした。

――コンビニの定義が変わった、と。

 少子高齢化が進み、社会の構造ががらっと変わりました。人々の生活時間や環境が変化したのです。でも、コンビニはずっと“足し算”だった。サービスを足して足して成長する世界でした。その結果、お客さんが半年に1回しか使わないようなサービスも存在します。例えば、ATMの利用件数が減っている。コンビニの個々のサービスの取引件数は減少しているのです。