そごう・西武が「小型百貨店」拡大へ、イオンモールへの出店店舗を標準フォーマット化…来春までの出店計画は?写真:そごう・西武提供

6月11日、そごう・西武は埼玉県越谷市のイオンレイクタウンに小型百貨店「西武・そごうショップ」をオープンした。2023年8月までセブン&アイ・ホールディングス傘下だったため、小型百貨店がイオンモールにテナントとして出店するのは、今回が初。2000年以降、百貨店は日本全国で閉店が続き、ここ数年は新規出店に関する話題は皆無に等しかった。加えて、そごう・西武の本拠地である池袋本店の建屋は全面改装を経て、地下1階から地上5階にヨドバシカメラがオープン。百貨店の売り場面積は縮小された。連載『流通・小売りフロントライン』の本稿では、逆境の中でそごう・西武が進める小型百貨店の勝算について、開発担当者に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

「近くて便利」な百貨店へ
ファミリー層にアプローチ

――イオンレイクタウンの「西武・そごうショップ」は、小型百貨店として5店舗目です。これまでの4店舗はそごうの跡地など、もともとなじみのある場所でした。新店はコンビニエンスストアと同じくらいの売り場面積です。コンセプトは?

 2014年に神奈川県川崎市のグランツリー武蔵小杉に出店した「西武・そごうショップ」が最初の小型百貨店で、そこから静岡県三島市、千葉県柏市、埼玉県川口市の4店舗を出店してきました。各店舗は和洋菓子の食品ギフトを中心に、贈答用のカタログギフトなどを取りそろえています。

 柏が最も広く、270平米ほど。武蔵小杉と川口は120~140平米ほどで、三島は過去にそごうが出店していた経緯もあり、婦人雑貨や衣料品なども扱っています。

 今回オープンしたレイクタウンの店舗は140~150平方メートルで、和洋菓子の食品ギフトのほかに、全国のメーカーのお菓子を一つから気軽にお買い求めいただける「諸国銘菓」コーナーを常設しました。取り扱っているブランド数としては、35~40ほど。今後はこの店舗を小型百貨店の標準フォーマットとして、全国に拡大していきたいと考えています。

――なぜ、数ある施設の中でレイクタウンを選んだのですか。

 レイクタウンは「kaze」「mori」「OUTLET」の三つのエリアで構成されており、全国のショッピングセンターの中でも指折りの大型商業施設です。これから出店を加速させていく上で、まずは館の規模や圧倒的な集客力を重視しました。

 百貨店のお客さまには、長い年月を一緒に過ごしてくださった方が多くいらっしゃいますが、一方でファミリー層などの新しい若年層の獲得には課題がありました。

 われわれは、そうしたファミリー層にも潜在的なギフト需要はあるとみています。しかし、子育て中で時間を捻出しづらかったり、従来型の百貨店の店舗まで物理的な距離の問題があったりと、足を運びづらいのが実情でした。それならば、われわれが需要のあるエリアに出向いて出店し、「近くて便利」をかなえたいと考えたのです。

――百貨店の小型店モデルには、コスメを取り扱う三越伊勢丹の「ISETAN MiRROR」があります。西武・そごうショップは食品を扱っていますが、一般的に食品はコスメや雑貨よりも利益率が低いです。食品以外を扱う選択肢はあったのでしょうか。

 実際に三島のショップでは婦人雑貨などを取り扱っており、今回の出店の際に食品ギフトだけではない形も検討しました。ただ、小型百貨店として事業を拡大していくときに、どのような形であればそごう・西武らしさが最も発揮できるのかを第一に考えました。

 結果として、出店を相談していた複数のデベロッパーがわれわれに期待し、支持してくださっているのは、やはり食品での強みだと分かりました。また、イオンモール側にも、レイクタウンの食領域のテナントを強化する方針があり、今回の出店が実現しました。

 食品は薄利多売であることは間違いありません。一方で、現在の出店モデルであれば生産性が高く、店舗数が増えていけば確実な事業の柱になっていく手応えがある。将来的には、食品ギフトに肉付けする形で、雑貨なども取り扱っていきたいと考えています。

――標準フォーマットとなるレイクタウンの店舗では、客単価はどの程度で推移していますか。

建築コストが高騰し、百貨店が従来の形で新規出店をすることが難しくなる中、そごう・西武が活路を見いだす小型百貨店。実はこのモデルには、出店コストの抑制以外にも大きなメリットがあるという。次ページでは、27年春までの具体的な出店計画のほか、これまでの出店を通じてつかんだ、勝ち筋を明かす。