【追悼】セブン-イレブンは「出社しない社員が4人」…“コンビニの父”鈴木敏文氏が30年前の不況の入り口で明かしていた顧客ニーズの拾い方Photo:JIJI

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文名誉顧問が5月18日に93歳で死去していたことが明らかになった。鈴木氏は1963年にヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)に入社。73年に米国のサウスランド社とライセンス契約を結び、翌年にセブン-イレブンの1号店を開店。セブン-イレブン・ジャパンの成長を主導し、日本のコンビニエンスストアビジネスを築き上げた。鈴木氏は消費者のニーズをどのように捉えていたのか。日本がデフレ不況に突入する今から約30年前、鈴木氏は「週刊ダイヤモンド」のインタビューに登場し、消費者ニーズの拾い方について解説している。「週刊ダイヤモンド」1995年10月7日号の鈴木氏のインタビューを再掲載する。(ダイヤモンド編集部)

※「週刊ダイヤモンド」1995年10月7日号のインタビューを基に再編集。肩書や数値などの情報は雑誌掲載時のもの

地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災
1995年の混乱の中でセブンの業績は?

――この夏の業績はいかがですか。

 セブン‐イレブンは夏型の店ですから、史上最高の暑さという環境は応援部隊になるはずでした。ところが昨年を上回ったとはいえ、思ったほどの伸びはありませんでしたね。チェーンストアなどでは衣料品が良かったといわれていますが、食品は良くありませんしね。

 この数字を見ましても、景気が上向いたとか、底を打ったなどとは安易に言えないと思っています。

――数字と実態が違っているということですか。

 例えば洋服は何枚持っていれば満足ということはなく、何枚でも欲しいと思う。食べ物は3倍食べることはできませんが、よりおいしいものを食べたいという欲望がある。

 これまでの消費とは、こうした欲望によって支えられてきたわけです。ところが今は、それだけでは物を買わない時代になった。これは、お金があるなしの問題ではなく、先行きに明るさがないからでしょうね。

 バブルの時代はお金がなくても働けば稼げるという気持ちがあったから物を買っていました。今は就職難など先行きに不安があるので、消費を冷ましているのでしょう。

――どうなれば戻せると思いますか。

 公定歩合が下がったり、政府が経済対策を打ち出すといったことに対する期待感によって、株が上がる。こうしたことが消費者に安心感を与え、消費も伸びる。ただし消費には遅行性があるので、良くなるときも悪くなるときも、世の中の動きより少し遅れるでしょう。

――しかし、コンビニのようなところは景気に左右されにくい買い回り品が多いですが。

 ところが影響するんです。価格破壊などで商品単価が下がり、下がったから売れないというのも事実ですが、それだけではなく、数量も落ちていますから。

セブン-イレブンはPOS(販売時点情報管理)システムを導入し、世界に先駆けて販売データをマーケティングに活用するなどマーケティング革命を起こした。ただし、鈴木氏は「どんな商品を開発すればいいかは、POSは絶対教えてくれない」と強調する。次のページでは、鈴木氏が販売システムや商品企画についての考えを明かす。