流通・小売り フロントラインPhoto:kyodonews

日韓にまたがる巨大財閥、ロッテホールディングス(HD)が2期連続の巨額赤字に沈んだことが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。さらに、6月29日に行われた定時株主総会では、ロッテHD元副会長の重光宏之氏だけでなく、韓国に住む創業者の親族が現体制を猛烈に批判したという。連載『流通・小売り フロントライン』の本稿では、紛糾した株主総会の様子をレポートする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

社外取締役として“売れっ子”でも
本業では2期連続の巨額赤字

 ロッテホールディングス(HD)が揺れている。その中心にいるのは、現社長の玉塚元一氏だ。

 玉塚氏は、産業界の“売れっ子”だ。コーポレートガバナンスの厳格化で社外取締役の重要性が増す中、経営経験があったり知名度があったりする人材には、複数の会社から依頼が殺到する。玉塚氏はファーストリテイリングの社長を経て、2014年にローソンの社長に就任した後、21年6月に現職に就任した。有名企業を率いた経験のある玉塚氏は、社外取締役としてうってつけの人材なのだ。

 それ故、玉塚氏の日常は常軌を逸するほどの過密スケジュールに違いない。玉塚氏はコールセンターの運営やBPO支援を行うトランスコスモスのほか、LINEヤフーの社外取締役を務めている。直近の7月1日には、営業コンサルティングを行うベンチャー企業のGrand Centralの社外取締役に就任することも発表された。これらに加え、ジャパンラグビー リーグワンの理事長の職もこなしている。

 ロッテ創業者の重光武雄氏は、日本統治下の朝鮮半島で生まれた。戦後、武雄氏は裸一貫で日本へ渡り、早稲田高等工学校(現早稲田大学理工学部)で学ぶ傍ら、ロッテを創業した。

 チューインガムやチョコレートの相次ぐヒットで一大菓子メーカーとなった同社は、60年代に韓国への進出を果たす。高度経済成長を追い風に、ホテルや石油化学、小売業へと多角化。07年には、持ち株会社体制へと移行。現在、傘下には約220もの子会社が連なっている。ただし、日本国内に所在する企業はわずか34社で、グループの重心は韓国に置いている。

 玉塚氏は、そんなロッテのかじ取りを任されているのだが、社外取締役などを兼務しながら、日韓にまたがる巨大財閥を成長させることは難しかったようだ。事実、玉塚氏にとって“本業”であるロッテHDの業績は、目を覆いたくなる悲惨な状況であることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。26年3月期は、943億円の最終赤字に沈んだ。最終赤字を計上するのは2期連続。25年3月期の最終赤字は1626億円で赤字幅は縮小したものの、黒字化はかなわなかった。

 次ページでは、ロッテHDの決算の具体的な数値に加え、株主総会で明らかになった「創業家トラブル」の火種とリスクについて解説する。