加えて、到着港からの輸送日数はばら積み輸送のほうが短くなります。ばら積み輸送では、港と工場が直結していることが多く、港からの輸送日数はほぼ考慮しなくてよい一方、コンテナ輸送の場合は港から工場までの輸送時間を考慮しなければならないためです。コンテナ船の寄港順や積み替えの状況によっては輸送日数が逆転する場合すらあります。
食の安全を守るためには
コンテナ輸送が最適だった
国際物流において、どのような輸送手段をとるかを決める要因には様々なものがあります。輸送による環境への影響や、製品が発売されてから経った期間(ライフサイクル)なども挙げることができます。とはいえ、圧倒的に重要な判断基準は、運賃と(単位当たりの)輸送コスト、そして輸送時間(リードタイムといいます)です。
では納豆用大豆の輸入において、コストが高く、輸送日数でも有利とはいえないコンテナ輸送が選ばれているのはなぜでしょうか。
その大きな理由は、日本の消費者が非遺伝子組み換え作物であることを重視しており、日本に向けて輸出される納豆用大豆が非遺伝子組み換えであることです。
世界で栽培されている大豆の約75%は遺伝子組み換えですが、それらと混ざることなく非遺伝子組み換えの大豆を輸送する必要があるのです。
ばら積み船で大豆を運ぶには少なくとも数千トン単位の量を必要とします。そのため、出発港にたどり着くまでに、別々の農場で生産された大豆が一緒にまとめられることが一般的です。ところが非遺伝子組み換え大豆の生産量は少ないため、一度に数千トン単位で用意することは簡単ではありません。用意できたとしても、1年を通して世界中を動くばら積み船を非遺伝子組み換え大豆専用にすることは難しいのです。専用船にしようと思えば、日本中の輸入量を全部一括して行うとしても、少なくとも年に10往復程度は行える量の取引が必要になります。
したがって、状況に応じて遺伝子組み換え大豆輸送と併用しなければなりません。この場合、前に運んでいた大豆が混入するリスクを防ぐために徹底した清掃が必要になるなど、輸送にかかる手間も大きくなり、それだけ輸送コストも高くつきます。
一方、コンテナ輸送であれば、約20トンずつ1箱単位で運ぶことができます。
『コンテナ海運が世界を動かす』(松田琢磨、KADOKAWA)
さらに、バンニングしたあとは、ドアに封印がなされて最終目的地までほかの貨物と混じりません。したがって、非遺伝子組み換え大豆のように、生産地や品種を指定したIdentity Preserve(分別生産)貨物の輸送に適しています。これが納豆用大豆の輸送にコンテナ輸送が用いられている大きな理由となっているのです。
これまでの話をまとめると、以下のようになります。
(1)原料を安価かつ安定的に供給するため、輸入大豆を使用する
(2)非遺伝子組み換え大豆を運ぶため、コンテナを利用する
納豆用大豆は「安価に」「箱単位で」運ぶ必要があるためにコンテナが利用されているわけです。同じように、身近にある様々な品物を輸入するためにコンテナ輸送は用いられていますし、工業製品の輸出にも用いられています。







